他動詞と自動詞(Transitivity)とは何か
英語の動詞は、目的語(Object)を必要とするかどうかによって「他動詞(Transitive Verb)」と「自動詞(Intransitive Verb)」の2種類に分類されます。この性質のことを英語で Transitivity(他動性) と呼びます。
- 他動詞(Transitive Verb): 動作の対象となる目的語を直接後ろに置かないと文が成立しない動詞。「〜を…する」という日本語に対応することが多いです。
- 自動詞(Intransitive Verb): 目的語を必要とせず、それだけで動作・状態が完結する動詞。後ろに続けるなら前置詞を挟む必要があります。
He discussed the problem.(彼はその問題について話し合った)→ discuss は他動詞
He talked about the problem.(彼はその問題について話した)→ talk は自動詞
日本語では「〜について話す」も「〜を話す」も似たような感覚で使えてしまうため、この違いは日本人学習者が最もつまずきやすいポイントの一つです。discuss と talk about、marry と get married to、resemble と look like のように、日本語訳はほぼ同じでも英語では文型(自動詞か他動詞か)がまったく異なる、という組み合わせが数多く存在します。この感覚のズレを解消することが、正確で自然な英作文への近道になります。
他動詞(Transitive Verb)の形と基本ルール
形(公式)
| 文型 | 公式 | 例文 |
|---|---|---|
| 肯定文 | 主語 + 他動詞 + 目的語 | I like coffee.(私はコーヒーが好きだ) |
| 否定文 | 主語 + do/does/did + not + 動詞の原形 + 目的語 | I do not like coffee.(私はコーヒーが好きではない) |
| 疑問文 | Do/Does/Did + 主語 + 動詞の原形 + 目的語? | Do you like coffee?(あなたはコーヒーが好きですか) |
| 受動態 | 目的語(主語) + be + 過去分詞(+ by 動作主) | Coffee is liked by many people.(コーヒーは多くの人に好まれている) |
他動詞の最大の特徴は、目的語がないと意味が成立しない、または不自然になるという点です。また、他動詞は目的語をそのまま主語にして受動態(受け身)を作ることができます。これは自動詞にはできない、他動詞だけの重要な性質です。
主な用法
- 直接目的語を1つとる(SVO文型・第3文型)
She wrote a letter.(彼女は手紙を書いた) - 間接目的語と直接目的語の2つをとる(SVOO文型・第4文型)
He gave me a present.(彼は私にプレゼントをくれた) - 目的語+補語をとる(SVOC文型・第5文型)
They made him happy.(彼らは彼を幸せにした) - 受動態にできる(他動詞の重要な特徴)
The window was broken by the boy.(その窓は少年によって割られた) - 前置詞なしで直接「〜を」の対象を取る
discuss(〜について話し合う)、marry(〜と結婚する)、resemble(〜に似ている)、reach(〜に着く)、attend(〜に出席する)、enter(〜に入る)、approach(〜に近づく)
自動詞(Intransitive Verb)の形と基本ルール
形(公式)
| 文型 | 公式 | 例文 |
|---|---|---|
| 肯定文 | 主語 + 自動詞(+ 修飾語句) | She smiled.(彼女は微笑んだ) |
| 否定文 | 主語 + do/does/did + not + 動詞の原形 | She did not smile.(彼女は微笑まなかった) |
| 疑問文 | Do/Does/Did + 主語 + 動詞の原形? | Did she smile?(彼女は微笑みましたか) |
| 前置詞を伴う場合 | 主語 + 自動詞 + 前置詞 + 名詞 | She arrived at the station.(彼女は駅に到着した) |
自動詞の最大の特徴は、目的語を直接とらないこと、そして受動態にできないことです。「〜を」に対応する日本語があっても、英語では自動詞であり、前置詞を挟んで名詞を続ける必要がある動詞は非常に多く存在します。
主な用法
- 単独で文が完結する(SV文型・第1文型)
The baby cried.(赤ちゃんが泣いた) - 主語の状態や様子を説明する補語をとる(SVC文型・第2文型、この場合は自動詞に分類される)
He became a teacher.(彼は教師になった) - 前置詞をはさんで対象・方向・場所などを示す
I agree with you.(私はあなたに賛成だ)
She apologized to him.(彼女は彼に謝った)
We arrived at the airport.(私たちは空港に着いた) - 受動態にできない(能動の形のままでしか使えない)
⭕ He arrived at the hotel.
❌ The hotel was arrived by him.(この受動態は誤り) - 自然現象や自発的な動作を表す
The sun rises in the east.(太陽は東から昇る)
自動詞と他動詞の両方で使える動詞(両用動詞)
英語には、同じ形のまま自動詞にも他動詞にもなる動詞が数多くあります。意味やニュアンスが変わることもあるため注意が必要です。
| 動詞 | 自動詞としての意味・例文 | 他動詞としての意味・例文 |
|---|---|---|
| open | The door opened.(ドアが開いた) | She opened the door.(彼女はドアを開けた) |
| break | The glass broke.(グラスが割れた) | He broke the glass.(彼はグラスを割った) |
| stop | The car stopped.(車が止まった) | He stopped the car.(彼は車を止めた) |
| move | The train moved.(電車が動いた) | She moved the chair.(彼女は椅子を動かした) |
| grow | The plant grew fast.(その植物は早く育った) | She grows tomatoes.(彼女はトマトを育てている) |
| run | The engine runs smoothly.(エンジンは滑らかに動く) | He runs a company.(彼は会社を経営している) |
学習のポイントとして、「主語が自分でその動作をする(自動詞)」のか「主語が誰か・何かに対してその動作をさせる(他動詞)」のかを意識すると、この使い分けの感覚がつかみやすくなります。open, break, stop などは、「自動詞=結果として〜になる」「他動詞=〜を…する(人が働きかける)」という対応がよく見られます。
紛らわしい自動詞・他動詞のペア(要暗記)
日本人学習者が特に混同しやすいのが、形が似ていて意味も近いのに、片方が自動詞、もう片方が他動詞という動詞のペアです。これは日本の学校英文法でも頻出の重要ポイントです。
| 自動詞(+ 前置詞) | 他動詞 | 覚え方のポイント |
|---|---|---|
| lie(横たわる・ある)- lay - lain | lay(〜を横たえる・置く)- laid - laid | lie は自分が横たわる。lay は何かを横たえる。活用の違いにも注意 |
| rise(上がる)- rose - risen | raise(〜を上げる)- raised - raised | rise は自然に上がる。raise は人が何かを持ち上げる |
| sit(座る) | seat(〜を座らせる) | seat は基本的に受動態 be seated で使うことが多い |
| arrive at/in(〜に着く) | reach(〜に着く) | reach は前置詞なしで直接目的語をとる |
| talk about/to(〜について話す・〜に話す) | discuss(〜について話し合う) | discuss の後に about を置くのは誤り |
| listen to(〜を聞く) | hear(〜が聞こえる) | listen to は意識的に聞く、hear は自然に耳に入る |
| look at/for(〜を見る・探す) | see, watch, find | look の後は必ず前置詞が必要 |
| wait for(〜を待つ) | await(〜を待つ、ややフォーマル) | wait の後に for を忘れずに |
| complain about(〜について不満を言う) | — | about を省略しないこと |
| graduate from(〜を卒業する) | — | 日本語の「〜を卒業する」につられて from を忘れがち |
| apologize to A for B(AにBのことで謝る) | — | apologize は他動詞的には使わない |
| get married to(〜と結婚する) | marry(〜と結婚する) | marry は他動詞、前置詞 with は不要 |
| resemble(〜に似ている) | — | 見た目は自動詞的だが実は他動詞。look like と混同注意 |
日本人がよく間違えるポイント
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい英文 | なぜ間違いなのか |
|---|---|---|
| ❌ I discussed about the problem. | ⭕ I discussed the problem.(その問題について話し合った) | discuss は他動詞。日本語の「〜について話し合う」につられて about を入れてしまう典型的な誤り |
| ❌ He married with her. | ⭕ He married her. / He got married to her.(彼は彼女と結婚した) | marry は他動詞で前置詞は不要。get married の場合は to が必要 |
| ❌ I will explain you the plan. | ⭕ I will explain the plan to you.(あなたにその計画を説明する) | explain は「人」を直接目的語にとれない(SVOO不可)。explain + 事柄 + to + 人 の語順にする |
| ❌ She resembles to her mother. | ⭕ She resembles her mother.(彼女は母親に似ている) | resemble は他動詞。look like のイメージにつられて to をつけてしまう誤り |
| ❌ I reached to the station. | ⭕ I reached the station. / I arrived at the station.(駅に着いた) | reach は他動詞で前置詞不要。arrive は自動詞で at が必要という対比を混同しやすい |
| ❌ Please attend to the meeting.(会議に出席するの意味で) | ⭕ Please attend the meeting.(その会議に出席してください) | attend は「出席する」の意味では他動詞。attend to は「〜に対応する・世話をする」という別の意味になる |
| ❌ He entered into the room. | ⭕ He entered the room.(彼は部屋に入った) | enter は「場所に入る」の意味では他動詞。enter into は「(契約・議論など)に入る」という抽象的な意味で使う別表現 |
| ❌ I graduated the university. | ⭕ I graduated from the university.(私はその大学を卒業した) | graduate は自動詞。日本語の「〜を卒業する」の「を」につられて他動詞のように使ってしまう誤り |
| ❌ The accident was happened yesterday. | ⭕ The accident happened yesterday.(その事故は昨日起きた) | happen は自動詞であり受動態にできない。「起こる」という日本語の受け身的な語感につられやすい |
| ❌ I apologized him. | ⭕ I apologized to him.(私は彼に謝った) | apologize は自動詞。to を忘れると他動詞のように誤用してしまう |
自然な例文で確認する(主語のバリエーション)
- My father discusses business matters with his colleagues every morning.(父は毎朝、同僚とビジネスの話し合いをしている)
- The students arrived at school before the bell rang.(生徒たちはベルが鳴る前に学校に到着した)
- We reached the summit after five hours of climbing.(私たちは5時間の登山の末、山頂にたどり着いた)
- My sister resembles our grandmother in many ways.(私の姉はいろいろな点で祖母に似ている)
- The teacher explained the grammar rule to the class carefully.(先生はそのクラスに文法規則を丁寧に説明した)
- He apologized to his boss for being late.(彼は遅刻したことについて上司に謝った)
- The company raised its prices last month.(その会社は先月、価格を上げた)
- Prices rose sharply after the announcement.(発表の後、価格が急上昇した)
- She laid the baby gently on the bed.(彼女は赤ちゃんをそっとベッドに横たえた)
- The cat lay quietly in the sun all afternoon.(その猫は午後じゅう、静かに日なたに横たわっていた)
- They got married last spring.(彼らは去年の春に結婚した)
- He married his high school sweetheart.(彼は高校時代の恋人と結婚した)
まとめ
- 他動詞(Transitive Verb)は目的語を直接とり、受動態にできる。自動詞(Intransitive Verb)は目的語を直接とらず、受動態にできない。
- 日本語の「〜を」「〜に」「〜について」という助詞の感覚に頼って前置詞の有無を判断すると誤りやすい。discuss, marry, resemble, reach, attend, enter は他動詞(前置詞不要)。graduate from, apologize to, arrive at, wait for, listen to, look at は自動詞(前置詞必要)として、動詞ごとに文型をセットで覚えることが重要。
- open, break, stop, move, grow のように自動詞・他動詞の両方で使える動詞は、「主語自身がその動作をする」のか「主語が対象に働きかける」のかで意味が変わる。
- lie/lay、rise/raise のような紛らわしいペアは、活用形も含めてセットで暗記する。
- 新しい動詞を覚えるときは、日本語訳だけでなく必ず「後ろにどんな形(目的語か前置詞句か)が続くか」を辞書や例文で確認する習慣をつけることが、正確な英作文への一番の近道になる。