英語で「〜がある」「〜がいる」と言いたいとき、日本人学習者がまず頭に浮かべるのは「主語+動詞」の語順です。しかし英語には、日本語の発想とは根本的に異なる存在構文(There is / There are 構文)というものがあります。この記事では、中学・高校の英文法で習う基本ルールから、日本人が特に間違えやすいポイント、ネイティブが実際に使う自然な表現まで、体系的かつ網羅的に解説します。
There is / There are は「〜がある」「〜がいる」という存在・所在を表す最も基本的な構文でありながら、可算名詞・不可算名詞の区別や、be動詞の単数・複数の一致など、日本語にはない文法要素が絡むため、多くの学習者が混乱しがちな単元です。この記事を読めば、There is / There are 構文を自信を持って使いこなせるようになります。
There is There are とは何か:存在構文の基本概念
There is / There are は、「(ある場所に)〜が存在する」ということを述べるときに使う構文です。日本語では「机の上に本があります」のように「場所+が+ある(いる)」という語順で表現しますが、英語ではこの「〜がある」に対応する専用の構文として There is / There are を用います。
ここで最も重要なポイントは、There is / There are の "There" は「そこに」という意味を持たないということです。これは「There(そこに)is(ある)」という直訳ではなく、文法上の主語の位置を埋めるための形式主語(虚辞のthere)であり、実際の意味上の主語(本当に「存在するもの」)はbe動詞の後ろに置かれる名詞です。
- There is a book on the desk.(机の上に本が1冊あります。)
- There are three books on the desk.(机の上に本が3冊あります。)
上の例文で、実際に「存在するもの」は a book / three books であり、これが意味上の主語です。be動詞(is / are)は、この意味上の主語の数(単数か複数か)に一致させる必要があります。日本語では「〜がある」の部分は主語の数に応じて形を変えることはありませんが、英語ではbe動詞をしっかり使い分ける点が最大の違いです。
There is There are の形(公式):肯定文・否定文・疑問文の作り方
まずは基本形を表で整理しましょう。日本の学校文法でおなじみの「肯定文・否定文・疑問文」の枠組みで押さえます。
基本の文型(現在形)
| 文の種類 | 単数(There is) | 複数(There are) |
|---|---|---|
| 肯定文 | There is + 単数名詞 / 不可算名詞. | There are + 複数名詞. |
| 否定文 | There is not(isn't)+ 単数名詞 / 不可算名詞. | There are not(aren't)+ 複数名詞. |
| 疑問文 | Is there + 単数名詞 / 不可算名詞? | Are there + 複数名詞? |
| 疑問詞疑問文 | How many + 複数名詞 + are there? | How much + 不可算名詞 + is there? |
公式(肯定文)
There + be動詞 + 名詞(意味上の主語) + 場所・時を表す語句.
例文で確認しましょう。
- There is a cat under the table.(テーブルの下に猫が1匹います。)
- There are some students in the classroom.(教室に生徒が何人かいます。)
- There isn't any milk in the fridge.(冷蔵庫に牛乳が全くありません。)
- Is there a convenience store near here?(この近くにコンビニはありますか。)
- Are there any questions?(何か質問はありますか。)
- How many people are there in your family?(あなたの家族は何人ですか。)
時制ごとの活用表
There is / There are は現在形だけでなく、あらゆる時制・助動詞と組み合わせて使うことができます。日本人学習者は「There is = 現在形専用」と誤解しがちですが、実際には過去形・未来形・現在完了形など幅広く応用されます。
| 時制・用法 | 単数形 | 複数形 |
|---|---|---|
| 現在形 | There is | There are |
| 過去形 | There was | There were |
| 未来形 | There will be | There will be |
| 現在完了形 | There has been | There have been |
| 過去完了形 | There had been | There had been |
| 助動詞(can, mustなど) | There can be / There must be | There can be / There must be |
| 進行形(まれに使用) | There is being(通常不使用) | ― |
- There was a big earthquake in 2011.(2011年に大きな地震がありました。)
- There will be a meeting tomorrow.(明日、会議があります。)
- There have been many changes recently.(最近、多くの変化がありました。)
- There must be a reason for this.(これには理由があるに違いありません。)
過去形・未来形・完了形になっても、be動詞の部分だけが変化し、"There" 自体は変化しないという点を押さえておくと理解しやすくなります。
There is There are の主な用法
There is / There are 構文には、単に「〜がある」というだけでなく、いくつかの典型的な使い方があります。それぞれルールと例文で確認しましょう。
- 初めて話題に出すもの・不特定のものの存在を述べる:会話や文章の中で、聞き手がまだ知らない新情報を導入するときに使います。
- There is a new restaurant near the station.(駅の近くに新しいレストランがあります。)
- 数や量を尋ねる(How many / How much):数えられるものには How many、数えられないものには How much を使います。
- How many chairs are there in the room?(部屋には椅子がいくつありますか。)
- How much time is there before the train leaves?(電車が出るまでどのくらい時間がありますか。)
- there + be動詞 + 名詞 + 現在分詞/過去分詞(付帯状況):存在するものが「〜している」「〜された」状態であることを補足する用法です。
- There is a man standing at the door.(ドアのところに男の人が立っています。)
- There were many cars parked outside.(外にはたくさんの車が停まっていました。)
- there + be動詞 + something / nothing / anything などの不定代名詞と共に使う:漠然とした「何か」「何もない」を表現します。
- There is nothing in the box.(箱の中には何もありません。)
- Is there anything I can do for you?(何かお手伝いできることはありますか。)
- it is(それは〜だ)との使い分け:「〜がある」の there is に対し、「それは〜だ」と特定のものを指すときは it is を使います(詳しくは次の比較表を参照)。
There is / It is / Here is の違いを表で比較
日本人学習者が最も混同しやすいのが、There is・It is・Here is の3つです。すべて「〜は」「〜がある」に類する日本語訳になり得るため、区別が曖昧になりがちです。
| 構文 | 意味・用途 | 主語の扱い | 例文 |
|---|---|---|---|
| There is / are | 存在を「新情報」として導入する | 形式主語(意味なし) | There is a pen on the desk.(机の上にペンがあります=初めて言及) |
| It is | 既出のもの・特定のものを指して説明する | 実質的な代名詞(前に出たものを指す) | It is on the desk.(それは机の上にあります=すでに話題になっているペンを指す) |
| Here is / are | 「ここに〜がある」と、手渡す・示すときに使う | Here が実際に「ここ」という意味を持つ | Here is your coffee.(はい、あなたのコーヒーです。) |
ポイント:一度 There is で存在を紹介したら、その後の文でそれについて言及するときは it や they(代名詞)を使うのが自然な流れです。
- There is a book on the table. It is very interesting.
(テーブルの上に本があります。それはとても面白いです。)
※2文目を "There is very interesting" とはしません。
可算名詞・不可算名詞と There is There are の一致
英語の most important な特徴の一つが可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)の区別です。日本語には名詞の可算・不可算という文法カテゴリーが存在しないため、多くの日本人学習者がここでつまずきます。
| 名詞の種類 | be動詞 | 例 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 可算名詞・単数 | is | a chair, an apple | There is an apple on the table.(テーブルの上にリンゴが1個あります。) |
| 可算名詞・複数 | are | chairs, apples | There are two apples on the table.(テーブルの上にリンゴが2個あります。) |
| 不可算名詞 | is(常に単数扱い) | water, money, information, furniture | There is a lot of water in the bottle.(ボトルにはたくさんの水があります。) |
不可算名詞(water, money, advice, information, furniture, traffic など)は、日本語では「たくさんの〜」と数を意識しても、英語では文法上常に単数扱いであり、be動詞は is を使います。ここは日本人が非常に間違えやすいポイントなので、次の章で詳しく扱います。
日本人がよく間違えるポイント【誤用例と正しい表現】
| ❌ 誤った英文 | ⭕ 正しい英文 | なぜ間違いなのか |
|---|---|---|
| There has a book on the desk. | There is a book on the desk. | 「〜がある」を there has と訳してしまう誤り。所有を表す have/has ではなく、存在を表す be動詞を使う。 |
| There are much water in the glass. | There is much water in the glass. | water は不可算名詞なので、複数扱いの are ではなく is を使う。「たくさん」という日本語につられて複数と誤解しやすい。 |
| There is many students in the class. | There are many students in the class. | students は複数形なのに is を使ってしまう誤り。be動詞は後ろの名詞の数に一致させる。 |
| It is a pen on the desk.(新情報として) | There is a pen on the desk. | 初めて話題に出すものには it is ではなく there is を使う。it は既知のものを指す代名詞。 |
| There is a many people at the party. | There are many people at the party. | many の後ろに複数名詞が来るときは a を付けない。冠詞 a と複数形の混同。 |
| Exist a solution to this problem.(there を省略) | There exists a solution to this problem. / There is a solution to this problem. | 日本語の「解決策が存在する」を直訳して there を落としてしまう誤り。存在構文には There が必須。 |
| The pen is there on the desk.(意図:机の上にペンがある、と紹介したいのに) | There is a pen on the desk. | 語順を日本語の「机の上に、ペンが、ある」に引きずられて組み立ててしまう誤り。英語ではThere is/areが先頭。 |
| Are there a dictionary in your bag? | Is there a dictionary in your bag? | dictionary は単数名詞なのに are を使ってしまう誤り。疑問文でも名詞の数とbe動詞を一致させる。 |
学習のポイント:日本語には「〜がある」という表現に単数・複数の区別がないため、英作文をするときはまず「存在するものは1つか、複数か、それとも数えられない名詞か」を確認する習慣をつけましょう。名詞を先に決めてから be動詞(is / are)を選ぶという手順を徹底すると、ミスが激減します。
また、日本語の「机の上に本があります」という語順につられて "On the desk, a book is." のような不自然な文を作ってしまう学習者もいますが、英語では There is/are を文頭に置く という決まった型があることを意識してください。この型さえ覚えてしまえば、あとは名詞を入れ替えるだけで様々な状況に対応できます。
There is There are を使った自然な例文集
日常生活のさまざまな場面で使われる自然な例文を、主語や状況を変えながら見ていきましょう。
- There is a supermarket around the corner.(角を曲がったところにスーパーがあります。)
- There are a lot of tourists in Kyoto during autumn.(秋の京都にはたくさんの観光客がいます。)
- There isn't much time left.(残り時間はあまりありません。)
- Is there a doctor on this flight?(この飛行機にお医者様はいらっしゃいますか。)
- There used to be a old temple here.(昔ここには古いお寺がありました。)
- There seems to be a problem with the printer.(プリンターに問題があるようです。)
- There will be no school tomorrow because of the typhoon.(台風のため、明日は学校が休みになります。)
- How many members are there in your club?(あなたのクラブには何人のメンバーがいますか。)
- There's nothing to worry about.(心配することは何もありません。)
- There were a few mistakes in your essay.(あなたのエッセイにはいくつか間違いがありました。)
ネイティブの感覚:会話では There is を There's、There has been を There's been のように短縮する形が非常によく使われます。ただし、複数形の There are を There're と短縮するのは書き言葉ではまれで、話し言葉でもやや発音しにくいため、実際の会話では There are をはっきり発音することが多い点も覚えておきましょう。
There is There are のまとめ:覚えるべき核心ルール
- There is / There are は「〜がある」「〜がいる」という存在を表す構文で、"There" 自体には「そこに」という意味はない(形式主語)。
- be動詞(is / are)は、後ろに続く名詞(意味上の主語)の数に一致させる。単数・不可算名詞は is、複数名詞は are。
- 否定文は is not(isn't)/ are not(aren't)、疑問文は Is there ~? / Are there ~? の語順にする。
- 数を尋ねるときは、可算名詞に How many、不可算名詞に How much を使う。
- 新情報・不特定のものを紹介するときは There is、既に話題に出たもの・特定のものを指すときは It is を使う。
- 過去形(There was/were)、未来形(There will be)、現在完了形(There has/have been)など、あらゆる時制に応用できる。
- 会話では There's のように短縮するのが自然だが、複数形の There're は基本的に使わない。
There is / There are は一見シンプルですが、可算・不可算名詞の理解や、意味上の主語との一致という英語特有の発想が求められる重要な文法項目です。基本の型をしっかり体に染み込ませ、日本語の語順に引きずられずに「There + be動詞 + 名詞」という型を反射的に使えるようになるまで、例文を音読・暗唱して練習することをおすすめします。