目的格代名詞(Object Pronouns)とは?意味と基本の考え方
英語の「目的格代名詞(Object Pronouns)」とは、文の中で動詞の目的語や前置詞の目的語になる代名詞のことです。日本語では「〜を」「〜に」「〜と」のように助詞で役割が決まりますが、英語では代名詞自体の「形」が変わることでその役割を表します。これが日本人学習者にとって最初のつまずきポイントです。
たとえば日本語では「私」は主語でも目的語でも同じ「私」のままですが、英語では主語なら I、目的語なら me と、単語そのものが変化します。
I love him.(私は彼を愛しています。)
He loves me.(彼は私を愛しています。)
このように、英語には「主格代名詞(主語になる形)」と「目的格代名詞(目的語になる形)」の2種類があり、文中の位置と役割によって正しい形を選ぶ必要があります。この使い分けは、英語のあらゆる文で登場する超基本文法でありながら、日本語にはない発想のため、初級者だけでなく中上級者でも意外なミスをしやすい項目です。
目的格代名詞の一覧表(人称代名詞の格変化)
英語の人称代名詞は、主格・所有格・目的格・所有代名詞の4種類の「格」を持っています。まずは目的格を中心に、全体像を一覧表で押さえましょう。
| 人称 | 主格(〜は/が) | 目的格(〜を/に) | 所有格(〜の) | 所有代名詞(〜のもの) |
|---|---|---|---|---|
| 一人称単数 | I | me | my | mine |
| 二人称単数・複数 | you | you | your | yours |
| 三人称単数(男性) | he | him | his | his |
| 三人称単数(女性) | she | her | her | hers |
| 三人称単数(物・事) | it | it | its | (なし) |
| 一人称複数 | we | us | our | ours |
| 三人称複数 | they | them | their | theirs |
学習のポイント:youとitは主格と目的格が同じ形なので迷う心配がありません。一方でI→me、he→him、she→her、we→us、they→themは形が大きく変わるため、この5つを重点的に覚えましょう。特に日本語話者はhe/himとshe/herの混同、およびI/meの使い分けミスが非常に多いです。
目的格代名詞の主な用法(動詞の目的語・前置詞の目的語)
目的格代名詞が使われる場面は、大きく分けて3つあります。番号順に見ていきましょう。
-
他動詞の目的語になる(〜を、〜に)
She called me last night.(彼女は昨夜私に電話しました。) -
前置詞の目的語になる(前置詞の直後は必ず目的格)
This letter is for her.(この手紙は彼女宛てです。) -
be動詞の補語として使われる(口語)
Who is it? — It's me.(誰ですか?—私です。)
※文法的には "It is I." が伝統的な正式形ですが、現代の日常会話では "It's me." が圧倒的に自然です。学校英文法で "It is I" と習っても、実際の会話では me を使うのがネイティブの感覚です。 -
比較の as / than の後ろ(口語では目的格が一般的)
He is taller than me.(彼は私より背が高いです。)
※フォーマットな文体・正式な英文では "than I (am)" も使われますが、日常会話・くだけた文章では than me が自然です。 -
不定詞の意味上の主語として
I want her to come.(私は彼女に来てほしいです。)
※日本語では「彼女が来ることを望む」と主語のように訳しますが、英語では to不定詞の前は目的格を使います。
前置詞の後ろは必ず目的格というルール
日本人学習者が最も間違えやすいのが「前置詞+代名詞」の組み合わせです。日本語には前置詞という概念がなく、助詞(に・と・へ・から等)で済ませてしまう発想があるため、英語で前置詞の後ろに主格を置いてしまうミスが頻発します。
❌ This is a photo of he.
⭕ This is a photo of him.(これは彼の写真です。)❌ Let's go to the party with I.
⭕ Let's go to the party with me.(一緒にパーティーに行きましょう。)
核心ルール:前置詞(of, for, with, to, at, from, between など)の直後に代名詞が来る場合、例外なく目的格を使います。「前置詞の後ろは目的格」と丸ごと覚えてしまうのが最も効率的です。
混同しやすいポイントの比較表
| 場面 | 使う代名詞の格 | 例文 |
|---|---|---|
| 動詞の主語 | 主格(I, he, she, we, they) | She likes coffee.(彼女はコーヒーが好きです。) |
| 動詞の目的語 | 目的格(me, him, her, us, them) | I like her.(私は彼女が好きです。) |
| 前置詞の目的語 | 目的格 | Come with us.(私たちと一緒に来て。) |
| be動詞の補語(口語) | 目的格が一般的 | It was her.(それは彼女でした。) |
| and / or で結ばれた目的語の中 | 目的格のまま | Give it to him and me.(それを彼と私にください。) |
最後の項目は特に重要です。日本人学習者は "A and B" のように複数の代名詞が並ぶと、なぜか主格を使ってしまう傾向があります。
日本人がよく間違えるポイント(誤用パターンと理由)
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい形 | なぜ間違えるのか |
|---|---|---|
| Please tell to I. | Please tell me.(私に教えて。) | tellは他動詞で直接目的語を取る(tell + 人)。「〜に」という日本語の助詞につられてtoを入れてしまう和製英語的発想のミス。 |
| This is a present for he. | This is a present for him.(これは彼へのプレゼントです。) | 前置詞forの後ろなのに、主語のイメージが強いheを使ってしまう。 |
| Me and my friend went there. | My friend and I went there.(友達と私はそこへ行きました。) | 主語の位置でmeを使ってしまう逆パターン。カジュアルな会話では聞かれるが、書き言葉・フォーマルな場では誤りとされる。 |
| Give the book to she and I. | Give the book to her and me.(その本を彼女と私にください。) | andで複数の代名詞をつなげる際、前置詞toの支配が及んでいることを忘れ、主格を混ぜてしまう。 |
| He is older than I. (くだけた場面で) | He is older than me.(彼は私より年上です。) | 文法書通りのthan Iを暗記していても、日常英会話ではthan meが自然。使い分けの感覚がないと不自然に響く。 |
| I love he. | I love him.(私は彼を愛しています。) | 日本語の「彼」という一語に引っ張られ、主格・目的格の区別を忘れてしまう最も基本的なミス。 |
ネイティブの感覚:迷ったときは「代名詞を1つだけにして文を読んでみる」テストが有効です。例えば "Give the book to she and I" なら、"and I" を外して "Give the book to she" と読むと不自然だとすぐわかります。逆に "Give the book to me" なら自然に聞こえるので、"her and me" が正しいと判断できます。この一時的に片方を消して確認する方法は、ネイティブスピーカーも無意識に使っている非常に実践的なチェック方法です。
自然な例文で確認する目的格代名詞の使い方
日常会話でよく使われる、主語がバラエティに富んだ例文で感覚をつかみましょう。
Can you help me with this bag?(このバッグを持つのを手伝ってくれますか?)
My sister invited us to her wedding.(姉が私たちを結婚式に招待してくれました。)
I haven't seen them in years.(もう何年も彼らに会っていません。)
The teacher praised her in front of the class.(先生はクラスの前で彼女を褒めました。)
Don't wait for him; he's always late.(彼を待たないで。彼はいつも遅刻するから。)
This secret is just between you and me.(これは私たちだけの秘密です。)
They gave it to us as a gift.(彼らはそれを私たちに贈り物としてくれました。)
I can't believe she said that about you.(彼女があなたについてそんなことを言ったなんて信じられません。)
最後から2つ目の例文のように、1つの文に目的格代名詞が2回登場することも珍しくありません(it を直接目的語、us を間接目的語として)。動詞のパターン(give + 物 + to + 人など)と合わせて練習すると定着しやすくなります。
まとめ:目的格代名詞の核心ルール
- 英語の代名詞には主格(I, he, she, we, they)と目的格(me, him, her, us, them)があり、日本語にはない「形の変化」で役割を示す。
- 動詞の目的語と前置詞の目的語には必ず目的格を使う。
- youとitは主格・目的格が同形なので迷わないが、I/me、he/him、she/her、we/us、they/themの5組は要注意。
- "A and B" のように代名詞が2つ並ぶ場合も、前置詞や動詞の支配は変わらないため、両方とも目的格にする(例:to her and me)。
- 迷ったら、片方の代名詞を一時的に消して文を読み、自然に聞こえるかどうかで判断するのが実践的なコツ。
- "It's me."や"than me"のように、口語では目的格が一般的に使われる場面も多く、これはネイティブの自然な感覚として覚えておく。