再帰代名詞(Reflexive Pronouns)とは?意味と基本ルールを徹底解説
英語の「再帰代名詞(さいきだいめいし、reflexive pronouns)」とは、文の主語と目的語が同一人物・同一のものを指すときに使う代名詞のことです。日本語では「自分自身」「〜自身」に相当しますが、日本語の会話では「自分」をあまり言葉に出さない傾向があるため、日本人学習者は再帰代名詞を「省略していい言葉」だと誤解しがちです。しかし英語では、主語と目的語が同じ人・ものを指す場合、再帰代名詞を使わないと文法的に誤りになったり、意味が変わってしまったりします。
例えば、"I looked at me in the mirror." は英語として不自然(誤り)で、正しくは "I looked at myself in the mirror."(私は鏡で自分自身を見た)となります。この「見落としがちな一語」こそが、再帰代名詞学習の最重要ポイントです。
再帰代名詞は中学・高校英文法でも扱われる基本項目ですが、実際の運用(強調用法・前置詞との組み合わせ・慣用表現)まで正確に使いこなせる学習者は多くありません。本記事では、形(活用表)、用法、比較、日本人が間違えやすいポイント、実践例文までを体系的に解説します。
再帰代名詞の一覧と活用表(人称代名詞との対応)
再帰代名詞は、人称代名詞(主格・所有格)に対応して形が決まります。単数は所有格+"-self"、複数は所有格(または目的格)+"-selves" という語尾変化を覚えるのが基本です。
| 人称 | 主格(〜は) | 所有格(〜の) | 目的格(〜を) | 再帰代名詞(〜自身) |
|---|---|---|---|---|
| 1人称単数 | I | my | me | myself |
| 2人称単数 | you | your | you | yourself |
| 3人称単数(男性) | he | his | him | himself |
| 3人称単数(女性) | she | her | her | herself |
| 3人称単数(もの) | it | its | it | itself |
| 1人称複数 | we | our | us | ourselves |
| 2人称複数 | you | your | you | yourselves |
| 3人称複数 | they | their | them | themselves |
語尾変化のルール(公式)
| 種類 | 公式 | 例 |
|---|---|---|
| 単数形 | 所有格 + self | myself, yourself, himself, herself, itself |
| 複数形 | 所有格/目的格 + selves | ourselves, yourselves, themselves |
注意点(つづりの落とし穴)
- 3人称単数「彼」は所有格 his を使い、his + self → himself(× hisself は誤り)
- 3人称複数は所有格 their ではなく them + selves → themselves(× theirselves、× themself は口語・非標準)
- you は単数でも複数でも同じ形だが、再帰代名詞は単数 yourself/複数 yourselves と使い分ける
再帰代名詞の主な用法(再帰用法・強調用法・慣用表現)
再帰代名詞の用法は大きく分けて3つあります。1つずつルールと例文で確認しましょう。
1. 再帰用法(動作が自分自身に返ってくる)
主語が行った動作の対象が、主語自身と同じ人・ものである場合に使います。日本語の「〜を(自分)」に相当する部分に置きます。
- ルール: 主語=目的語のとき、目的語の位置に再帰代名詞を置く。
- She hurt herself while skiing.(彼女はスキー中に自分自身をけがした=けがをした)
- I taught myself how to play the guitar.(私は独学でギターの弾き方を覚えた)
- The cat washed itself in the sun.(その猫は日なたで自分の体をなめて洗った)
2. 強調用法(〜自身で、〜自ら)
「他の誰でもなく、その人自身が」という意味を強調するために使います。この場合、再帰代名詞を取り除いても文の骨格(文型)は成立するのが特徴です。
- ルール: 主語や目的語のすぐ後ろ、または文末に置いて強調する。省略しても文法的には成立する。
- I myself don't agree with this plan.(私自身はこの計画に賛成していません)
- The manager himself apologized to the client.(マネージャー自らがクライアントに謝罪した)
- She fixed the computer herself.(彼女は自分でコンピュータを修理した)
3. 前置詞+再帰代名詞(慣用表現)
前置詞の後ろに再帰代名詞を置くことで、「独力で」「独りで」などの決まった意味を表す慣用表現になります。
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| by oneself | 独りで、独力で(=alone / without help) |
| for oneself | 自分のために、自分の力で |
| to oneself | 独り占めで、自分だけの |
| in itself | それ自体は |
| beside oneself | 我を忘れて(取り乱して) |
- He lives by himself in Tokyo.(彼は東京で一人暮らしをしている)
- Please decide for yourself.(自分自身で決めてください)
- She wanted the room to herself.(彼女はその部屋を独り占めしたかった)
- He was beside himself with joy.(彼は嬉しさのあまり我を忘れていた)
再帰代名詞と人称代名詞(me, him, herなど)の違いを比較
日本人学習者が最も混同しやすいのが「再帰代名詞」と「(単なる)目的格の人称代名詞」の使い分けです。ポイントは「主語と目的語が同一人物かどうか」です。
| 文 | 主語=目的語? | 使う代名詞 | 意味 |
|---|---|---|---|
| He introduced him to the guests. | 違う人(例:彼が別の男性を紹介) | 目的格 him | 彼は彼(別人)を紹介した |
| He introduced himself to the guests. | 同一人物(彼が自分を紹介) | 再帰代名詞 himself | 彼は自己紹介した |
| She blamed her for the mistake. | 違う人(彼女が別の女性を責めた) | 目的格 her | 彼女は彼女(別人)を責めた |
| She blamed herself for the mistake. | 同一人物(彼女が自分を責めた) | 再帰代名詞 herself | 彼女は自分を責めた |
学習のポイント: 英文を作るとき、まず日本語で「〜は〜を…する」の「〜を」の部分が主語と同じ人物かどうかを確認する癖をつけましょう。同じ人物なら必ず再帰代名詞、別の人物なら人称代名詞(him, her, them など)を使います。
再帰代名詞と所有代名詞(mine, hisなど)・myself/oneselfの混同に注意
「〜self」という形から、所有代名詞(mine, yours など)や所有格(my, your など)と混同するケースもあります。
| 種類 | 例 | 用途 |
|---|---|---|
| 所有格 | my, your, his | 名詞の前に置いて「〜の」を表す(my book) |
| 所有代名詞 | mine, yours, his | 「〜のもの」を表し、名詞なしで使う(This book is mine.) |
| 再帰代名詞 | myself, yourself | 主語=目的語のときに使う、または強調 |
- ❌ This is mineself.(このような単語は存在しない)
- ⭕ This book is mine.(この本は私のものだ)
- ⭕ I bought myself a new bag.(私は自分に新しいバッグを買った)
日本人がよく間違えるポイント一覧(誤用例と正しい表現)
日本語には「自分」という言葉がありますが、英語の再帰代名詞とは使うタイミングが異なります。特に日本語の発想をそのまま英語に直訳すると誤りが生まれやすいので、以下の表で確認しましょう。
| ❌ 誤った英文 | ⭕ 正しい英文 | なぜ誤りか(日本語との発想の違い) |
|---|---|---|
| I feel happy myself. | I feel happy. または I myself feel happy.(強調したい場合) | 日本語の「私自身、幸せです」を直訳すると入れたくなるが、感情を表す動詞(feel, thinkなど)では主語と目的語の関係がなく、再帰代名詞は不要。強調したいときのみ主語の直後に置く。 |
| Please introduce me. (自己紹介してほしい相手に対して言うつもりで) | Please introduce yourself. | 「自己紹介する」は "introduce oneself" が定型。主語(相手)=目的語なので再帰代名詞が必要。目的格 me のままだと「私を紹介して」という別の意味になる。 |
| He is proud of he. | He is proud of himself. | 前置詞 of の目的語が主語 he と同一人物のため、目的格 him ではなく再帰代名詞 himself が必要。日本語「彼は彼自身を誇りに思う」を意識せずに直訳すると単なる代名詞を選んでしまう。 |
| I hurt me. | I hurt myself. | 「私はけがをした」を直訳して "I hurt me" としがちだが、目的語が主語と同一人物なら必ず再帰代名詞。 |
| Enjoy!(自分自身で楽しんでという意味のつもりで "Enjoy" だけで済ませる) | Enjoy yourself! / Enjoy yourselves! | 日本語の「楽しんでね」は目的語なしで成立するが、英語の enjoy は他動詞であり目的語が必要。相手に呼びかける場合は必ず yourself(複数なら yourselves)を伴う。 |
| He washed the hisself car. | He washed his own car. / He washed the car himself. | himself は名詞を修飾する形容詞的な働きはしない。「彼自身の車」は his own car、「彼自身で洗った」は強調用法の himself を文末に置く。 |
| They talked to themself. | They talked to themselves. | 3人称複数の再帰代名詞は themselves。themself は近年一部で単数They(性別不特定の一人)に使われることもあるが、標準的な学校英文法では themselves が正しい形として扱われる。 |
ネイティブの感覚: 英語話者は「主語と目的語が同じかどうか」を瞬時に判断して代名詞を選びます。日本語のように「自分」を省略する発想を捨て、動詞の対象(誰を/何を)が主語と一致するかを常にチェックする習慣をつけることが、再帰代名詞習得の近道です。
再帰代名詞を使った自然な英語例文(日常会話でよく使う表現)
様々な主語・シーンでの実践的な例文を確認しましょう。
- I made myself a cup of coffee this morning.(今朝、私は自分にコーヒーを1杯入れた)
- You should be proud of yourself for passing the exam.(試験に合格したことを自分で誇りに思っていいよ)
- He always talks to himself when he's nervous.(彼は緊張すると独り言を言う癖がある)
- She treated herself to a nice dinner after the presentation.(彼女はプレゼンの後、自分にごちそうをした)
- The machine turns itself off automatically after ten minutes.(その機械は10分後に自動的に電源が切れる)
- We really enjoyed ourselves at the festival last weekend.(先週末のお祭りで私たちは本当に楽しんだ)
- Did you two paint the fence yourselves?(あなたたち2人でそのフェンスを塗ったの?)
- The children need to learn to take care of themselves.(子どもたちは自分の身の回りのことを自分でできるようになる必要がある)
- I don't blame myself for what happened.(起こったことについて自分を責めてはいません)
- Take care of yourself while you're traveling abroad.(海外旅行中は体に気をつけてね)
まとめ:再帰代名詞(Reflexive Pronouns)の核心ルール
- 再帰代名詞は「所有格+self(単数)」「所有格/目的格+selves(複数)」という形(myself, yourself, himself, herself, itself, ourselves, yourselves, themselves)。
- himself・themselves のつづりに注意(× hisself, × theirselves は誤り)。
- 主語と目的語(または前置詞の目的語)が同一人物・同一のものを指すときは必ず再帰代名詞を使う(再帰用法)。
- 「〜自身で」「他でもなく〜が」を強調したいときは、主語や目的語の直後、または文末に置く(強調用法・省略可能)。
- by oneself(独りで)、for oneself(自分のために)、enjoy oneself(楽しむ)などの慣用表現は、セットで丸ごと覚えると実践で使いやすい。
- 日本語の「自分」を省略する感覚をそのまま持ち込まず、「動詞・前置詞の対象は主語と同じ人物か」を毎回確認する習慣が、誤用を防ぐ最大のコツ。