時を表す前置詞(Prepositions of Time)とは何か
英語で「いつ」を表すとき、日本語では「〜に」「〜で」「〜まで」のように助詞ひとつで済むことが多いですが、英語では at・in・on をはじめとする複数の前置詞を、時間の種類ごとに正しく使い分ける必要があります。これが「時を表す前置詞(prepositions of time)」です。
日本語の「〜に」は非常に守備範囲が広い助詞で、「3時に」も「日曜日に」も「2024年に」もすべて「に」で表現できます。ところが英語では、同じ「〜に」でも指す時間の"大きさ"によって前置詞が変わります。この発想の違いこそが、日本人学習者が prepositions of time でつまずく最大の原因です。TOEIC・英検・大学入試のいずれでも頻出の文法項目であり、日常英会話でもメールの日程調整でも欠かせない知識なので、ここでしっかり体系立てて理解しておきましょう。
at・in・on の基本的な使い分けと覚え方
時を表す前置詞の中核をなすのが at、in、on の3つです。まずは公式として整理します。
形(公式)
| 前置詞 | 使う時間の単位 | 感覚のイメージ |
|---|---|---|
| at | 時刻・時点(点) | カレンダー上の一点を「ピンポイントで指す」感覚 |
| on | 日・曜日・特定の日付(面) | カレンダーの「その1マス(1日分)」を指す感覚 |
| in | 月・年・季節・世紀・長い期間(空間) | ある程度の"幅"を持つ期間を「包み込む」感覚 |
ネイティブの感覚としては、時間を「点 → 面 → 空間」という広がりでイメージすると覚えやすくなります。at は時計の針が指す一瞬の「点」、on はカレンダーの1日という「面(線)」、in は月や年という広がりのある「空間」を表す、という具合です。この視覚的なイメージを持っておくと、初めて見る表現でもどの前置詞を使うべきか推測しやすくなります。
主な用法
- at + 時刻・時点 — 「〜時に」「〜の時点で」
- I always wake up at six thirty.(私はいつも6時30分に起きます。)
- Let's meet at noon.(正午に会いましょう。)
-
She was still awake at midnight.(彼女は真夜中でもまだ起きていました。)
-
on + 曜日・日付・特定の日 — 「〜曜日に」「〜日に」
- The meeting is on Monday.(会議は月曜日にあります。)
- My birthday is on March 3rd.(私の誕生日は3月3日です。)
-
We usually stay home on Sundays.(私たちはたいてい日曜日には家にいます。)
-
in + 月・年・季節・世紀・長い期間 — 「〜月に」「〜年に」「〜(季節)に」
- Japan's rainy season starts in June.(日本の梅雨は6月に始まります。)
- He was born in 1998.(彼は1998年に生まれました。)
-
Cherry blossoms bloom in spring.(桜は春に咲きます。)
-
at + 特定の「時期」を表す慣用表現 — night、the weekend(イギリス英語)、Christmas など例外的な表現
- I like reading at night.(私は夜に読書をするのが好きです。)
- What are your plans at the weekend?(週末の予定は何ですか。)※イギリス英語では at the weekend、アメリカ英語では on the weekend が一般的
-
We exchange presents at Christmas.(私たちはクリスマスに贈り物を交換します。)
-
on + 特定の日の「朝・午後・夜」など「日付+時間帯」がセットになる場合
- I have a dentist appointment on Friday morning.(金曜日の朝に歯医者の予約があります。)
- She called me on the night of the party.(彼女はパーティーの夜に電話をくれました。)
学習のポイントとして、まず「時刻→at」「曜日・日付→on」「月・年・季節→in」という基本ルールを完璧に自動化することが先決です。例外表現(at night、on time など)は、慣用句として個別に暗記するほうが効率的です。
期間・継続・期限を表す前置詞の使い分け
at・in・on 以外にも、時間の「幅」や「期限」を表す前置詞は英作文・リーディングの両方で頻出します。特に for と since、by と until の混同は日本人学習者の"あるある"ミスです。
形(公式)
| 前置詞 | 意味 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| for | 〜の間(期間の長さ) | for three years, for a week |
| since | 〜以来(起点) | since 2020, since last Monday |
| during | 〜の間に(特定の期間内) | during the summer, during the meeting |
| by | 〜までに(期限・完了の締め切り) | by Friday, by 5 p.m. |
| until / till | 〜まで(継続の終点) | until midnight, until next week |
| within | 〜以内に | within 24 hours, within a week |
| from ... to ... | 〜から〜まで | from Monday to Friday |
| between ... and ... | 〜と〜の間に | between 2 and 3 p.m. |
主な用法
- for + 期間の長さ — 「〜の間」(数字を含む期間とセット)
- I have lived in Osaka for ten years.(私は大阪に10年間住んでいます。)
-
We waited for two hours.(私たちは2時間待ちました。)
-
since + 起点(過去のある時点) — 「〜以来」(現在完了形とセットで使うことが非常に多い)
- I have known him since we were in high school.(私は高校生の頃から彼を知っています。)
-
It has been raining since last night.(昨夜からずっと雨が降っています。)
-
during + 特定の期間(名詞) — 「〜の間に」(その期間の"内部で"何かが起こる)
- I fell asleep during the movie.(私は映画の間に眠ってしまいました。)
-
Please turn off your phone during the exam.(試験中は携帯電話の電源を切ってください。)
-
by + 期限 — 「〜までに」(その時点までに動作・状態が完了していることを表す)
- Please submit the report by Friday.(金曜日までに報告書を提出してください。)
-
I'll be home by 9 p.m.(午後9時までには家に着きます。)
-
until/till + 終点 — 「〜まで」(その時点まで動作・状態がずっと続くことを表す)
- I will wait until you arrive.(あなたが到着するまで待ちます。)
-
The store is open until 10 p.m.(その店は午後10時まで営業しています。)
-
within + 期限の枠内 — 「〜以内に」
-
We will reply within 24 hours.(24時間以内にご返信いたします。)
-
from ... to ... / between ... and ... — 「〜から〜まで」「〜と〜の間に」
- The store is open from 9 a.m. to 8 p.m.(その店は午前9時から午後8時まで営業しています。)
- Call me between 2 and 3 p.m.(午後2時から3時の間に電話してください。)
for と since の違い、by と until の違い(比較表)
日本人学習者が最も混同しやすい2組を、表で徹底比較しておきましょう。
| 比較項目 | for | since |
|---|---|---|
| 意味 | 期間の"長さ" | 期間の"起点" |
| 続く語句 | 数字+単位(three days, a long time) | 特定の時点(2020, last week, I was a child) |
| 例文 | I've studied English for five years.(5年間) | I've studied English since 2019.(2019年から) |
| よく使う時制 | 現在完了形・現在完了進行形 | 現在完了形・現在完了進行形 |
| 比較項目 | by | until(till) |
|---|---|---|
| 意味 | 期限(その時までに完了) | 継続の終点(その時まで続く) |
| 相性の良い動詞 | finish, submit, arrive, complete など「完了」を表す動詞 | wait, stay, sleep, continue など「継続」を表す動詞 |
| 例文 | Finish your homework by 8 p.m.(8時までに終わらせる) | I'll stay here until 8 p.m.(8時まで滞在し続ける) |
| ニュアンス | 「8時」という締め切りがポイント | 「8時まで」動作が切れ目なく続く |
この違いを一言でまとめると、by は「締め切り」、until は「継続の終わり」 です。「8時までに帰ります」は I'll be home by 8.(8時という時点までに帰る行為が完了)であり、「8時まで(ずっと)家にいます」は I'll be home until 8.(8時まで家にいる状態が継続)となります。動詞が"完了型"か"継続型"かに注目すると、どちらを使うべきか判断しやすくなります。
日本人がよく間違えるポイント
日本語の発想をそのまま英語に当てはめると誤りが生じやすいポイントを、具体例で確認しましょう。
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい表現 | なぜ間違いか |
|---|---|---|
| I was born at 1998. | I was born in 1998. | 年は「幅のある期間」なので in を使う。at は時刻専用と誤解しやすい。 |
| The meeting is in Monday. | The meeting is on Monday. | 曜日は on。「月曜日」を「月」のイメージで in にしてしまう誤りが多い。 |
| See you in the morning of March 3rd. | See you on the morning of March 3rd. | 「特定の日付+時間帯」がセットになると on を使う。morning だけなら in the morning だが、日付が付くと on に変わる点に注意。 |
| I have lived here since three years. | I have lived here for three years. | since は「起点(いつから)」、for は「期間の長さ(どれくらい)」。数字+単位には for。 |
| Please finish it until Friday. | Please finish it by Friday. | 日本語の「〜まで」に引きずられて until を選びがちだが、「完了の期限」には by を使う。 |
| I will wait by you arrive. | I will wait until you arrive. | 「待つ」という継続動作の終点には until。by は期限、until は継続の終わりという区別が必要。 |
| We will meet at next week. | We will meet next week. | next/last/this/every が付く時間表現には前置詞を付けない(後述)。at を付けたくなるが不要。 |
| I get up in every morning. | I get up every morning. | every が付く場合も前置詞は不要。「毎朝に」という日本語の「に」に引きずられて前置詞を入れてしまうミスが非常に多い。 |
| I was busy at last week. | I was busy last week. | last week、this week なども前置詞なしで副詞的に使う。 |
特に最後の3つ、next / last / this / every + 時間表現には前置詞を付けないというルールは、日本語の「〜に」「〜には」という助詞につられて at や in を挿入してしまう典型的な直訳ミスです。英作文やスピーキングで無意識に前置詞を足してしまわないよう、繰り返し練習して"前置詞なし"の形を体に覚え込ませましょう。
また、和製英語的な発想として「タイムリミット」という言葉から by と until をどちらも「まで」と一括りにしてしまう学習者が多いですが、英語ネイティブの感覚では「動作が完了する期限(by)」と「状態・動作が継続する終点(until)」は明確に区別されます。動詞の性質(完了動詞か継続動詞か)とセットで覚えることが、この2つを正確に使い分ける最短ルートです。
前置詞なしで使う時間表現
以下の語句には前置詞を付けないのが原則です。あわせて覚えておきましょう。
| 表現の種類 | 例 |
|---|---|
| next / last + 時間 | next month, last year, next Sunday |
| this / every + 時間 | this week, every day, every morning |
| yesterday / today / tomorrow | I saw him yesterday. |
| all day / all night | I worked all day. |
例文:
- I'm going to Kyoto next weekend.(来週末、京都に行きます。)
- We meet every Friday.(私たちは毎週金曜日に会います。)
- I called her yesterday.(昨日、彼女に電話しました。)
自然な英語例文で使い方を確認しよう
実際の会話やメールでよく使われる自然な文で、これまでのルールを総復習しましょう。
- My English class starts at nine in the morning.(私の英語の授業は午前9時に始まります。)
- The store closes at 8 p.m. on weekdays.(その店は平日は午後8時に閉まります。)
- She moved to Tokyo in April.(彼女は4月に東京に引っ越しました。)
- They got married on a rainy day in November.(彼らは11月のある雨の日に結婚しました。)
- I haven't seen my grandmother since the pandemic started.(パンデミックが始まって以来、祖母に会っていません。)
- We need to finish this project by the end of the month.(私たちは今月末までにこのプロジェクトを終わらせる必要があります。)
- He worked at the company for over twenty years.(彼はその会社で20年以上働きました。)
- Please arrive at the airport two hours before the flight.(フライトの2時間前には空港に到着してください。)
- The library is open from 9 a.m. to 6 p.m. on weekdays.(その図書館は平日は午前9時から午後6時まで開いています。)
- I'll call you sometime between 6 and 7 tonight.(今夜6時から7時の間にあなたに電話します。)
まとめ:時を表す前置詞の核心ルール
- atは時刻・時点のような"点"、onは曜日・日付のような"面"、inは月・年・季節のような"空間"というイメージで区別する。
- forは期間の長さ(数字+単位)、sinceは期間の起点(〜以来)で、現在完了形と特に相性が良い。
- byは「期限までに完了」、until(till)は「その時まで継続」。動詞が完了型か継続型かで判断する。
- duringは「その期間の内部で」何かが起こることを示し、後ろには具体的な期間を表す名詞が続く。
- next / last / this / every が付く時間表現、および yesterday / today / tomorrow には前置詞を付けない。
- 日本語の「〜に」「〜まで」という一つの助詞に引きずられず、時間の"種類"と動詞の"性質"に注目して前置詞を選ぶことが、prepositions of time を正確にマスターする一番の近道です。