Advanced Subject Verb Agreement(主語と動詞の一致)とは何か
英語の文では、主語(subject)が単数か複数かによって、動詞(verb)の形を変えなければなりません。これを「主語と動詞の一致」(Subject-Verb Agreement)と呼びます。中学・高校英語では「三単現のs」として習う基本ルールですが、実際の英文では、主語が長い修飾語句を伴っていたり、集合名詞や不定代名詞、"there is / there are" 構文、あるいは "and" や "or" で結ばれた複数の要素を含んでいたりするため、どこが本当の主語なのかを見誤りやすくなります。これが Advanced Subject Verb Agreement(発展的な主語・動詞の一致)と呼ばれる領域です。
日本語には「主語と動詞の数を一致させる」という発想自体がありません。日本語の動詞は主語が単数でも複数でも形が変わらないため(例:「彼は行く」「彼らは行く」)、日本人学習者にとってこのルールは直感的に身につきにくく、英作文や英会話で最も頻繁にミスが出るポイントの一つです。特にTOEIC・英検・大学入試の文法問題や、スピーキング・ライティングの評価基準でも重点的にチェックされる項目なので、正確に理解しておく価値が非常に高い文法事項です。
基本の形(公式): 三単現のsと be動詞の変化
まず土台となる基本形を確認します。
| 主語の人称・数 | 一般動詞(現在形) | be動詞 | have |
|---|---|---|---|
| I | play | am | have |
| You | play | are | have |
| He / She / It(三人称単数) | plays | is | has |
| We | play | are | have |
| They | play | are | have |
- 肯定文: He plays tennis every weekend.(彼は毎週末テニスをする。)
- 否定文: He doesn't play tennis on Mondays.(彼は月曜日はテニスをしない。)
- 疑問文: Does he play tennis well?(彼はテニスが上手ですか。)
ここまでは基礎ですが、Advanced Subject Verb Agreement で問題になるのは「主語が単数か複数かの判断が難しいケース」です。以下、それぞれのパターンを見ていきます。
主語と動詞の間に修飾語句が入る場合の一致
英語の文では、主語の直後に前置詞句や関係詞節などの修飾語句が入り、動詞との距離が離れることがよくあります。このとき、日本人学習者は「動詞の直前にある名詞」につられて動詞の形を選んでしまいがちです。これは英作文で最も多いミスの一つです。
ルール: 動詞は、間に挟まる修飾語句ではなく、文の「本当の主語(核になる名詞)」に一致させる。
- The box of chocolates is on the table.(そのチョコレートの箱はテーブルの上にある。)
→ 主語は "box"(単数)。"chocolates" につられて are にしない。 - The students in that classroom are very active.(あの教室の生徒たちはとても活発だ。)
→ 主語は "students"(複数)。 - A list of items was attached to the email.(品目のリストがメールに添付されていた。)
→ 主語は "list"。
学習のポイントとして、主語を見つけるコツは「前置詞句(of, in, with, along with, together with など)を一度カッコに入れて読み飛ばす」ことです。The box (of chocolates) is on the table. のように考えると、本当の主語が浮かび上がります。
主語がand・or・norで結ばれる場合の動詞の一致
複数の名詞が接続詞で結ばれているとき、その結び方によって単数扱いか複数扱いかが変わります。ここは日本人学習者が「andは常に複数」「orも複数」と単純化して誤解しやすい部分です。
| 結び方 | 動詞の数 | 例文 |
|---|---|---|
| A and B(別々の人・物) | 複数扱い | Tom and Jerry are best friends.(トムとジェリーは親友だ。) |
| A and B(一体の概念・一人の人物) | 単数扱い | Bread and butter is my favorite breakfast.(バターを塗ったパンが私の好きな朝食だ。) |
| Each / Every A and B | 単数扱い | Every boy and girl is invited.(すべての男の子・女の子が招待されている。) |
| A or B / A nor B | Bに一致(近接一致の原則) | Neither the manager nor the employees are available.(マネージャーも従業員たちも都合がつかない。) |
| either...or / neither...nor | 動詞に近い方の名詞に一致 | Either you or he is responsible.(あなたか彼のどちらかに責任がある。) |
ネイティブの感覚として、"or / nor" の場合は「動詞に文法的に近い名詞」に一致させるという「近接一致の原則(Proximity Agreement)」が働きます。日本語には存在しない発想なので、暗記が必要です。
集合名詞・不可算名詞と動詞の一致
日本語では「チーム」「家族」「委員会」のような集合体を表す言葉は、単数・複数の区別なく使えます。しかし英語の集合名詞(collective noun)は、話し手が「一つのまとまり」として捉えるか「構成員の集まり」として捉えるかで動詞の形が変わります。これは日本人にとって特に感覚がつかみにくいポイントです。
| 集合名詞 | 一つの集団として(単数扱い、主にアメリカ英語) | 構成員個々として(複数扱い、主にイギリス英語で多い) |
|---|---|---|
| team, family, committee, staff, audience | The team is playing well this season.(そのチームは今シーズン好調だ=チーム全体として) | The team are arguing among themselves.(チームのメンバーたちが仲間内でもめている=個々人として) |
また、不可算名詞(uncountable noun)は常に単数扱いです。日本人学習者は "news", "information", "advice", "furniture", "luggage" などを複数形にしたり、複数扱いの動詞を使ったりする誤りが非常に多く見られます。
- ❌ The news are shocking. → ⭕ The news is shocking.(そのニュースは衝撃的だ。)
- ❌ Informations are useful. → ⭕ The information is useful.(その情報は役に立つ。)
これらは日本語の「ニュース」「情報」が数えられる感覚で使われることが原因の典型的な母語干渉(和製英語的発想)によるミスです。
不定代名詞(each, everyone, someone, none, all など)と動詞の一致
不定代名詞は、意味的には「複数の人・物」を指しているように見えても、文法上は単数扱いになるものが多く、日本人学習者が最も混乱しやすい領域です。
| 常に単数扱い | 常に複数扱い | 文脈によって変わる |
|---|---|---|
| each, either, neither, everyone, everybody, everything, someone, somebody, anything, no one, nobody | both, few, many, several, others | all, some, none, most, a lot of + 名詞 |
- Each of the students has finished the homework.(生徒たちのそれぞれが宿題を終えた。)
→ "of the students" は修飾語句にすぎず、主語は "Each"(単数)。 - Everyone is welcome to join.(誰でも参加を歓迎される。)
→ "everyone" は意味的には「みんな」でも文法上は単数。 - Some of the water is contaminated.(その水の一部が汚染されている。)→ water(不可算)なので単数。
- Some of the students are absent today.(生徒の一部が今日欠席している。)→ students(可算複数)なので複数。
- None of the information is confirmed yet.(その情報のどれもまだ確認されていない。)
→ none は文脈次第だが、不可算名詞が続く場合は単数扱いが一般的。
学習のポイント: "all / some / none / most" の後ろに続く名詞が可算複数か不可算かを見極めることが、動詞の形を決める鍵になります。
There is / There are 構文と倒置文の一致
"There is / There are" 構文では、文法上の主語は "there" ではなく、be動詞の後ろに来る名詞です。日本人学習者は語順の感覚から「There」を主語だと錯覚し、常に is を使ってしまう誤りが目立ちます。
- There is a pen on the desk.(机の上にペンが一本ある。)
- There are three pens on the desk.(机の上にペンが三本ある。)
- There is a cup and two plates on the table.(テーブルの上にカップ一つと皿が二枚ある。)
→ 直後に続く名詞(a cup)に一致させるのが標準的なルール(近接一致)。ただし、フォーマルな文章では後ろの全体に合わせて are にすることもあります。
同様に、倒置(副詞句が文頭に出る)が起きる文でも、主語を見失いやすいので注意が必要です。
- On the shelf sit two old books.(棚の上に古い本が2冊置いてある。)
→ 主語は "two old books"(複数)なので sit(複数形)。
関係代名詞節の中の動詞の一致
関係代名詞(who, which, that)が主語になる節では、動詞は先行詞(関係代名詞が指している名詞)の数に一致させます。
- She is one of the students who always submit their assignments on time.
(彼女は、いつも課題を期限内に提出する生徒たちのうちの一人だ。)
→ "who" の先行詞は "the students"(複数)なので submit。 - He is the only one of the students who always submits the assignment on time.
→ "the only one" が強調されると先行詞は "one"(単数)となり submits。
このパターンは大学入試・英検準1級以上でも頻出であり、"one of the + 複数名詞 + who" の形と、"the only one of the + 複数名詞 + who" の形の違いを区別できるかが得点差になります。
日本人がよく間違えるポイント
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい文 | なぜ間違えるのか |
|---|---|---|
| The list of items are on the table. | The list of items is on the table. | 動詞の直前の名詞(items)につられる。本当の主語は list。 |
| Each of the members have a key. | Each of the members has a key. | each は単数扱いという発想が日本語にない。 |
| The news are good today. | The news is good today. | 日本語の「ニュース」は数えられる感覚があるため。 |
| There is two reasons for this. | There are two reasons for this. | There を主語だと錯覚し、常にisを使ってしまう。 |
| My family is all doctors. | My family are all doctors.(イギリス英語)/ The members of my family are all doctors.(より自然) | 集合名詞を常に単数として覚えてしまっている。 |
| Neither he nor his friends wants to go. | Neither he nor his friends want to go. | or/norの近接一致のルールを知らない。 |
| Playing video games are fun. | Playing video games is fun. | 動名詞句(-ing)が主語のとき常に単数扱いになることを忘れる。 |
動名詞句(-ing で始まる句)や to不定詞句、that節が主語になる場合も、常に単数扱いになる点は特に見落とされがちです。
- Learning a new language takes time and patience.(新しい言語を学ぶことは時間と忍耐を要する。)
- What she said surprises everyone.(彼女が言ったことはみんなを驚かせる。)
自然な英語例文で確認する
- The information you gave me was extremely helpful.(あなたがくれた情報は非常に役に立った。)
- Neither the teacher nor the students were aware of the schedule change.(先生も生徒たちも予定変更に気づいていなかった。)
- Everybody in the office knows about the merger.(オフィスの全員がその合併について知っている。)
- The committee has decided to postpone the meeting.(委員会は会議の延期を決定した。)
- Ten dollars is not enough to buy that book.(10ドルではその本を買うには足りない。)
→ 金額・時間・距離などの「まとまった量」は単数扱いになることが多い。 - Statistics show that the population is aging.(統計はその国の人口が高齢化していることを示している。)
→ "statistics"(統計データ)は複数扱いだが、"Statistics is a difficult subject."(統計学という学問)の場合は単数扱い。
まとめ: Advanced Subject Verb Agreementの核心ルール
- 動詞は、主語と動詞の間に挟まる修飾語句(前置詞句・関係詞節)ではなく、文の本当の主語に一致させる。
- "and" は基本的に複数扱いだが、一体の概念を表す場合は単数扱いになる。
- "or / nor" で結ばれた主語は、動詞に近い方の名詞に一致させる(近接一致の原則)。
- 集合名詞は「一つのまとまり」として見れば単数、「構成員個々」として見れば複数扱い。
- 不可算名詞(news, information, advice など)は常に単数扱い。
- each, everyone, everybody, someone, nobody などの不定代名詞は常に単数扱い。
- "There is / There are" の主語は there ではなく、その後ろに続く名詞である。
- 動名詞句・to不定詞句・that節が主語になるときは常に単数扱い。
- 関係代名詞節内の動詞は先行詞の数に一致させる。
これらのルールは一度に暗記しようとせず、実際の英文をたくさん読み、「主語はどれか」を意識しながら音読・シャドーイングすることで、自然に感覚として身についていきます。