英語の名詞の前には、しばしば「量」や「数」を表す語がつきます。few, a few, little, a little, most, most of, all, all of, none, neither, either, both, several, enough といった語は「数量詞(quantifiers)」と呼ばれ、中学・高校で習う基本的なものから、大学受験や英検準1級・TOEIC対策で問われる応用的なものまで幅広く存在します。本トピックでは、その中でも日本人学習者が特につまずきやすい「上級の数量詞」——few系とlittle系の違い、most/most ofの使い分け、all of/none of/neither/eitherの構文、数量詞と可算・不可算名詞の一致——を、日本語の発想との違いを踏まえながら体系的に解説します。
数量詞は英作文・英会話で「だいたいどれくらいか」を伝えるために不可欠な表現です。日本語では「少し」「ほとんど」「全部」のようにあいまいに表現できても、英語では可算名詞か不可算名詞か、肯定的なニュアンスか否定的なニュアンスかによって使う語がまったく変わります。この違いを正確に理解することが、自然な英語表現への第一歩です。
数量詞の基本形(公式)一覧
まず、数量詞がどの名詞(可算/不可算)と結びつくかを一覧表で整理します。日本の学校英文法でおなじみの「可算名詞(countable nouns)」「不可算名詞(uncountable nouns)」の区別がここでも土台になります。
| 数量詞 | 可算名詞(複数形) | 不可算名詞 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| many | ○ many books | × | 多い(肯定的、やや硬い) |
| much | × | ○ much water | 多い(否定文・疑問文で多用) |
| a lot of / lots of | ○ a lot of books | ○ a lot of water | 多い(口語で自然) |
| few | ○ few books | × | ほとんどない(否定的) |
| a few | ○ a few books | × | 少しある(肯定的) |
| little | × | ○ little water | ほとんどない(否定的) |
| a little | × | ○ a little water | 少しある(肯定的) |
| several | ○ several books | × | いくつかの(3つ以上、many よりは少ない) |
| enough | ○ enough books | ○ enough water | 十分な |
| most | ○ most books | ○ most water | ほとんどの(総称) |
| most of | ○ most of the books | ○ most of the water | ほとんどの(特定のものの中で) |
| all | ○ all books | ○ all water | すべての(総称) |
| all of | ○ all of the books | ○ all of the water | すべての(特定のものの中で) |
| none of | ○ none of the books | ○ none of the water | どれも~ない |
| both | ○ both books(2つ) | × | 両方の |
| either | ○ either book(2つのうち) | × | どちらか一方の |
| neither | ○ neither book(2つのうち) | × | どちらも~ない |
形(公式)の基本パターン
数量詞 + 名詞(総称) → most students, all water
数量詞 + of + the/my/these + 名詞(特定)→ most of the students, all of my money
この「of があるかないか」が、上級の数量詞を使いこなす最大のポイントです。次の章で詳しく見ていきます。
few と a few、little と a little の違い ― 肯定か否定かを見分けるコツ
日本語では「少しある」も「ほとんどない」も、どちらも「少ない」という同じイメージで捉えられがちです。しかし英語では、冠詞 a の有無だけで意味が正反対になるという、日本人が非常に間違えやすいポイントがあります。
| 表現 | 対象 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| a few + 可算名詞複数形 | 数えられる名詞 | 少しある(存在を肯定) | ポジティブ |
| few + 可算名詞複数形 | 数えられる名詞 | ほとんどない | ネガティブ |
| a little + 不可算名詞 | 数えられない名詞 | 少しある(存在を肯定) | ポジティブ |
| little + 不可算名詞 | 数えられない名詞 | ほとんどない | ネガティブ |
- I have a few friends in Tokyo.(東京に友達が少しいます=いることを前向きに伝えている)
- I have few friends in Tokyo.(東京に友達がほとんどいません=寂しいニュアンス)
- There is a little hope left.(希望が少し残っている=まだ望みがある)
- There is little hope left.(希望がほとんど残っていない=絶望的)
学習のポイント: aがつくと「グラスに水が半分“も”入っている」、aがないと「グラスに水が半分“しか”入っていない」というイメージで覚えると定着しやすいです。日本語訳だけを機械的に暗記すると、この符号の違い(プラスかマイナスか)を見落としてしまうので、必ず「話し手がどう感じているか」まで意識して読む・書く練習をしましょう。
also覚えておきたいのが quite a few という表現です。これは「a few」よりずっと多い数を表し、「かなりの数の」という意味になります。
- Quite a few students failed the exam.(かなり多くの学生がその試験に落ちた)
「quite a few」を見て「少し」と誤訳してしまう学習者が非常に多いので注意しましょう。
most と most of の使い分け方 ― the の有無で変わる意味
most と most of はどちらも「ほとんどの」と訳されますが、使う場面が異なります。この違いは日本語には存在しない発想なので、ルールとして明確に覚える必要があります。
形(公式)
most + 名詞(無冠詞・総称) → 一般的に「ほとんどの~」
most of + the/所有格/指示語 + 名詞 → 特定のグループの中で「ほとんどの~」
most of + 代名詞(us, them, it など)→ 常に of が必要
- Most students like summer vacation.(一般的に、学生というものは夏休みが好きだ)
- Most of the students in my class like summer vacation.(私のクラスの学生たちのほとんどは夏休みが好きだ=特定の集団)
- Most of them agreed with the plan.(彼らのほとんどがその計画に賛成した)
❌ Most of students like summer vacation.
⭕ Most students like summer vacation. / Most of the students like summer vacation.
日本人がよく間違えるポイント
| ❌ 誤 | ⭕ 正 | なぜ |
|---|---|---|
| most of students | most students / most of the students | the などの特定化する語がないのに of をつけてしまう誤り。of の後ろは必ず「特定された名詞句」でなければならない |
| almost students | almost all students / most students | almost は副詞であり、名詞を直接修飾できない。almost の後ろには all, every, no など別の語が必要 |
| most of people | most people / most of the people | 同上。people だけでは特定されていない |
ネイティブの感覚: 「most + 名詞」は世の中一般について語るとき、「most of + the + 名詞」は目の前にある具体的な集団について語るときに使う、と考えるとイメージしやすいです。日本語の「たいていの」「大半の」がどちらの意味でも使えてしまうため、英語にするときは「これは一般論か、それとも特定のグループの話か」を自問する習慣をつけましょう。
all of / none of / neither / either の構文と全否定・部分否定の注意点
all, none, neither, either もまた、日本人学習者が誤用しやすい上級の数量詞です。特に「全部~というわけではない(部分否定)」と「まったく~ない(全否定)」の混同が典型的なミスです。
形(公式)
all (of) + the/所有格 + 複数名詞/不可算名詞 → すべての~
none of + the/所有格 + 名詞 → どれも~ない(全否定)
both (of) + the/所有格 + 複数名詞(2つ) → 両方とも
either (of) + the/所有格 + 単数名詞(2つのうち)→ どちらか一方
neither (of) + the/所有格 + 単数名詞(2つのうち)→ どちらも~ない(2者の全否定)
- All of my colleagues attended the meeting.(同僚全員が会議に出席した)
- None of my colleagues attended the meeting.(同僚は誰一人として会議に出席しなかった)
- I like both of the restaurants.(私はそのレストラン両方とも好きだ)
- You can choose either of the two plans.(2つのプランのどちらか一方を選べる)
- Neither of the plans worked.(どちらのプランもうまくいかなかった)
not all と none の違い ― 部分否定と全否定
ここが日本人が最も混同しやすいポイントです。
| 表現 | 意味 | 分類 |
|---|---|---|
| Not all students passed the exam. | 合格しなかった学生もいる(全員ではない) | 部分否定 |
| No students passed the exam. / None of the students passed. | 誰も合格しなかった | 全否定 |
- Not all birds can fly.(すべての鳥が飛べるわけではない=飛べない鳥もいる)
- No birds can fly.(鳥は誰も飛べない)※これは事実に反する文なので注意
❌ All students didn't pass the exam.(意図:合格しなかった学生もいる、のつもりで書きがち)
⭕ Not all students passed the exam.
理由:「All + 動詞 + not」の語順は文法的には部分否定として使われることもありますが、曖昧で誤解を招きやすいため、現代英語では「Not all + 動詞」の語順が推奨されます。日本語の「全員が~というわけではない」を直訳的に「All ~ not」の順で組み立てると、ネイティブには「誰も~ない」という全否定と誤読される危険があります。
either と neither の数の一致
either, neither, none of の後ろの動詞は、フォーマルな文法では単数扱いが原則です。ただしof + 複数名詞が続く場合、口語では複数扱いされることもあります。
- Neither of the answers is correct.(フォーマル)
- Neither of the answers are correct.(口語でよく使われる)
学校英文法・試験対策では単数一致(is, has など)を選ぶのが安全です。
be動詞・一般動詞との数の一致で気をつけたいポイント
数量詞の後ろに続く動詞の単数・複数の一致も、日本人が混乱しやすい箇所です。ポイントは「数量詞そのものではなく、of の後ろの名詞(または代名詞)の数に動詞を合わせる」ということです。
| 主語 | 動詞の形 | 例文 |
|---|---|---|
| Most of the water | 単数 | Most of the water is gone.(水のほとんどがなくなっている) |
| Most of the students | 複数 | Most of the students are ready.(学生のほとんどが準備できている) |
| None of the money | 単数 | None of the money was used.(そのお金はまったく使われなかった) |
| None of the books | 単数扱い(フォーマル)/複数扱い(口語) | None of the books is/are interesting. |
| Each of the students | 常に単数 | Each of the students has a laptop.(学生一人ひとりがノートPCを持っている) |
| Every one of the students | 常に単数 | Every one of the students has passed. |
学習のポイント: 「most of / all of / none of + 名詞」は名詞の可算・不可算、単数・複数に動詞を合わせますが、each of / every one of / neither of / either of は「1つずつ」というイメージが強いため常に、あるいは原則として単数扱いになります。この違いは丸暗記ではなく、「each=個別に見ている」「all/most=集合として見ている」という発想の違いで理解すると忘れにくくなります。
日本人が間違えやすいポイントまとめ
| ❌ 誤 | ⭕ 正 | なぜ |
|---|---|---|
| I have little friends in this town.(友達がいて嬉しいと言いたいのに) | I have a few friends in this town. | a がないと「ほとんどいない」というネガティブな意味になる |
| almost people think so | most people think so / almost all people think so | almost は副詞なので名詞を直接修飾できない |
| most of people | most people / most of the people | of の後ろは特定化された名詞句が必要 |
| Both students didn't come. (2人とも来なかった、のつもりで) | Neither student came. | both + not は誤解を招きやすい部分否定表現。全否定には neither を使う |
| He has much friends. | He has many friends. | much は不可算名詞専用。friends は可算名詞なので many |
| I need a few water. | I need a little water. | water は不可算名詞。可算専用の a few は使えない |
自然な英語例文で確認しよう
- A few of my classmates went abroad to study after graduation.(数人のクラスメートが卒業後に留学した)
- She has little interest in watching TV these days.(彼女は最近テレビにほとんど興味がない)
- Most of the information on this website is reliable.(このウェブサイトの情報のほとんどは信頼できる)
- None of us expected the meeting to end so quickly.(会議がこんなに早く終わるとは私たちの誰も予想していなかった)
- You can take either of these two seats.(この2つの席のどちらかに座って構いません)
- Neither of my parents speaks English fluently.(私の両親はどちらも英語を流暢に話しません)
- Not all employees agreed with the new policy.(すべての従業員が新方針に賛成したわけではない)
- Both of the movies were surprisingly good.(その映画は両方とも驚くほど良かった)
- There were quite a few mistakes in his report.(彼のレポートにはかなり多くの誤りがあった)
- Each of the team members has a specific role.(チームメンバーの一人ひとりに特定の役割がある)
まとめ:上級の数量詞で押さえるべき核心ルール
- a few / a little(プラスの意味「少しある」)と few / little(マイナスの意味「ほとんどない」)は、a の有無で意味が正反対になる。
- most + 名詞は一般論、most of + the + 名詞は特定のグループを指す。most of students のように the を省略しないこと。
- almost は副詞なので名詞を直接修飾できない。almost all / almost every の形で使う。
- not all(部分否定)と none / no(全否定)を混同しない。「全員が~ではない」は not all、「誰も~ない」は none。
- each of / every one of / neither of / either of は個別を意識する表現なので動詞は単数形が原則。most of / all of / none of は名詞の数に動詞を合わせる。
- 可算名詞には many, few, a few, several、不可算名詞には much, little, a little を使う区別を常に意識する。
これらのルールは一度に丸暗記しようとせず、実際の英文を読むたびに「これは可算か不可算か」「肯定的か否定的か」「一般論か特定の集団の話か」を自分に問いかける習慣をつけることで、自然に定着していきます。