動名詞と不定詞とは?基本の定義とdoing/to doの違い
英語の動詞には、名詞のように文中で使われる2つの形があります。それが動名詞(gerund)と不定詞(infinitive)です。
- 動名詞:動詞の原形に -ing をつけた形(例:swimming, reading, studying)で、動詞でありながら名詞の働きをします。
- 不定詞:to + 動詞の原形(例:to swim, to read, to study)の形で、名詞・形容詞・副詞のように働きます。
日本語には「動詞が名詞に変化する」という発想自体があまりないため、多くの日本人学習者は「なぜ動詞に -ing や to がつくだけで名詞や修飾語になるのか」というところでまずつまずきます。日本語では「泳ぐこと」「読むために」のように助詞や形式名詞で処理する内容を、英語では動詞の「形」を変えることで表現する、という発想の違いをまず理解することが第一歩です。
さらに厄介なのは、日本語訳だけを見ると動名詞と不定詞がほとんど同じ意味に見えてしまう点です。
I like swimming. (私は泳ぐことが好きだ。)
I like to swim. (私は泳ぐことが好きだ。)
この2文はほぼ同じ意味ですが、動詞によっては動名詞しか使えない、不定詞しか使えない、あるいは両方使えるが意味が変わるという3パターンがあり、これが日本人学習者にとって最大の難所になります。本トピックでは、この使い分けを体系的に、かつ試験・実生活の両方で使える形で整理します。
動名詞と不定詞の形(公式)まとめ
まずは基本形を表で確認しましょう。
| 形 | 作り方 | 例 |
|---|---|---|
| 動名詞(肯定) | 動詞の原形 + -ing | reading, writing, studying |
| 動名詞(否定) | not + 動詞の原形 + -ing | not reading, not studying |
| 動名詞(完了形) | having + 過去分詞 | having studied |
| 動名詞(受動態) | being + 過去分詞 | being invited |
| 不定詞(肯定) | to + 動詞の原形 | to read, to write, to study |
| 不定詞(否定) | not to + 動詞の原形 | not to read, not to study |
| 不定詞(完了形) | to have + 過去分詞 | to have studied |
| 不定詞(受動態) | to be + 過去分詞 | to be invited |
| 原形不定詞(to なし) | 動詞の原形のみ | (let / make / help など+)go, see |
綴りの注意点(-ing形の作り方)
| ルール | 例 |
|---|---|
| 通常はそのまま -ing をつける | play → playing |
| 語尾がeで終わる語はeを取って-ing | make → making, write → writing |
| 短母音+子音字で終わる1音節語は子音字を重ねる | run → running, stop → stopping |
| ieで終わる語はyに変えて-ing | lie → lying, die → dying |
動名詞の主な用法(doingを使う場面)
- 文の主語になる:動名詞は「〜すること」として文頭に置ける。
- Swimming is good exercise.(泳ぐことは良い運動だ。)
- 動詞の目的語になる:enjoy, finish, avoid, mind, suggest, give up など特定の動詞の後に置く。
- She finished writing the report.(彼女はレポートを書き終えた。)
- 前置詞の目的語になる:前置詞(in, on, at, for, about, by, without など)の直後は必ず動名詞。
- He is good at cooking.(彼は料理が得意だ。)
- Thank you for helping me.(手伝ってくれてありがとう。)
- look forward to, be used to などの熟語表現で使う:この to は不定詞の to ではなく前置詞のtoなので、後ろは動名詞。
- I look forward to seeing you.(あなたに会えるのを楽しみにしています。)
- 補語(be動詞の後)になる:主語を説明する働き。
- My hobby is collecting stamps.(私の趣味は切手収集だ。)
不定詞の主な用法(to doを使う場面)
- 名詞的用法:動詞の目的語になる:want, decide, plan, hope, promise, refuse, agree など特定の動詞の後に置く。
- I decided to study abroad.(私は留学することに決めた。)
- 名詞的用法:文の主語や補語になる:やや硬い文体で使われる(It is 〜 to doの形が好まれる)。
- To master English takes time.(英語をマスターするには時間がかかる。)
- My goal is to become a teacher.(私の目標は教師になることだ。)
- 形容詞的用法:名詞を後ろから修飾する:「〜するための」「〜すべき」という意味。
- I have a lot of homework to do.(私にはやるべき宿題がたくさんある。)
- 副詞的用法:目的を表す(〜するために):in order to / so as to で強調されることもある。
- She went to the library to borrow some books.(彼女は本を借りるために図書館へ行った。)
- 副詞的用法:感情の原因を表す:glad, happy, surprised, sorry などの後に続く。
- I was surprised to hear the news.(私はその知らせを聞いて驚いた。)
- too 〜 to / enough to の構文:「〜すぎて…できない」「…できるほど〜」。
- This box is too heavy to carry.(この箱は重すぎて運べない。)
- She is old enough to drive.(彼女は運転できる年齢だ。)
- 疑問詞 + to不定詞:what to do, how to use, where to go など「〜すべきか」。
- I don't know what to say.(何を言えばいいかわからない。)
原形不定詞(to のない不定詞)を使う特別なケース
以下の動詞の後は to のない不定詞(原形) を使います。日本人学習者が見落としやすいポイントです。
| 動詞 | 例文 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| make(〜させる) | She made him clean the room. | 彼女は彼に部屋を掃除させた。 |
| let(〜させてあげる) | My parents let me go out. | 両親は私が外出するのを許した。 |
| help(〜するのを手伝う)※to ありも可 | He helped me (to) carry the bags. | 彼は私がバッグを運ぶのを手伝った。 |
| 知覚動詞 see, hear, feel, watch, notice | I saw him cross the street. | 私は彼が通りを渡るのを見た。 |
| 助動詞 can, will, must, should など | She can swim very fast. | 彼女はとても速く泳げる。 |
※知覚動詞は動作の一部分を見た場合、-ing形(現在分詞)を使うこともあります(I saw him crossing the street. 彼が渡っているところを見た)。この違いは「動作全体を見た(原形)」か「動作の途中を見た(-ing)」かという視点の差です。
動名詞・不定詞の両方をとるが意味が変わる動詞(最重要ポイント)
これは英検・TOEIC・大学入試でも頻出の最重要項目です。同じ動詞でも動名詞と不定詞で意味がまったく変わるものがあります。
| 動詞 | + 動名詞(doing) | + 不定詞(to do) |
|---|---|---|
| remember | 〜したことを覚えている(過去) | 〜することを覚えている・忘れずに〜する(未来) |
| forget | 〜したことを忘れる(過去) | 〜することを忘れる(未来) |
| stop | 〜するのをやめる | 〜するために立ち止まる |
| try | 試しに〜してみる | 〜しようと努力する |
| regret | 〜したことを後悔する | 残念ながら〜する(丁寧な前置き) |
例文で確認しましょう。
I remember meeting her before. (以前彼女に会ったことを覚えている。=過去の記憶)
I remembered to meet her. (彼女に会うことを覚えていた/会うのを忘れなかった。=これからの予定)
He stopped smoking. (彼はタバコをやめた。=喫煙という行為自体をやめた)
He stopped to smoke. (彼はタバコを吸うために立ち止まった。=stoppedは「立ち止まる」、to smokeは目的)
I tried opening the window. (試しに窓を開けてみた。=いろいろ試した中の一つの行動)
I tried to open the window. (窓を開けようと努力した(開いたかは不明)。=努力・挑戦)
学習のポイント:動名詞は「すでに起きている・現実の動作」、不定詞は「これから起きる・まだ実現していないこと」というイメージを持つと覚えやすくなります。動名詞は「過去志向・実体験」、不定詞は「未来志向・目標」という感覚です。この感覚を持っておくと、remember / forget / stop / try のどれが来ても迷わなくなります。
動名詞だけをとる動詞・不定詞だけをとる動詞の一覧
丸暗記が必要な部分ですが、グループでまとめると覚えやすくなります。
動名詞のみをとる主な動詞
enjoy, finish, avoid, mind, suggest, admit, deny, give up, put off, consider, practice, imagine, miss, escape, risk, resist
He enjoys playing video games.(彼はテレビゲームをするのを楽しむ。)
Would you mind opening the window?(窓を開けていただけますか。)
She suggested going to the beach.(彼女はビーチに行くことを提案した。)
不定詞のみをとる主な動詞
want, decide, hope, plan, promise, refuse, agree, wish, expect, offer, manage, afford, fail, pretend
He wants to buy a new car.(彼は新しい車を買いたいと思っている。)
They decided to postpone the meeting.(彼らは会議を延期することに決めた。)
She promised to call me back.(彼女は折り返し電話すると約束した。)
学習のポイント:これらの動詞は文の意味と結びつけて覚えると定着しやすくなります。enjoy, finish, avoid, mind, give up などは「今行っている・すでに行った動作」に関わる動詞が多く、want, decide, hope, plan, promise などは「これから先の未実現の行為」を表す動詞が多いという傾向があります。先ほどの「動名詞=過去・現実」「不定詞=未来・目標」という感覚とリンクさせて覚えましょう。
日本人が特によく間違えるポイント
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい形 | なぜ間違いか |
|---|---|---|
| I am good at play tennis. | I am good at playing tennis. | 前置詞 at の後は必ず動名詞。日本語の「〜が得意」につられて動詞の原形を置いてしまうミスが多い。 |
| I enjoy to read books. | I enjoy reading books. | enjoy は動名詞のみをとる動詞。「楽しむ」=to不定詞と反射的に結びつけてしまう誤りが多い。 |
| I look forward to see you. | I look forward to seeing you. | look forward to の to は前置詞。不定詞のtoと混同しやすい典型例。 |
| I want going there. | I want to go there. | want は不定詞のみをとる動詞。enjoyとwantのパターンを逆に覚えてしまうミスが非常に多い。 |
| It is important to be studying English every day. | It is important to study English every day. | 継続の意味を出そうとして不必要に進行形にしてしまう。to studyだけで十分。 |
| She suggested to go shopping. | She suggested going shopping. | suggest は動名詞のみ(thatの節で表現することも可能:suggested that we go shopping)。日本語の「〜しようと提案した」から反射的にto不定詞を使ってしまう。 |
| I'm looking forward to meet you tomorrow. | I'm looking forward to meeting you tomorrow. | 同上。look forward to は特に頻出の誤用ポイント。 |
| I need to studying more. | I need to study more. | to の後は動詞の原形。-ingをつけてしまう「二重マーキング」のミス。 |
| He is interesting in learning English. | He is interested in learning English. | 感情形容詞(interested)と現在分詞(interesting)の混同。前置詞inの後は動名詞というルール自体は合っているが、形容詞の選択ミスが併発しやすい。 |
注意すべき和製英語・直訳の落とし穴:日本語の「〜すること」という表現につられて、to不定詞と動名詞のどちらでも同じように使えると思い込みがちですが、英語ネイティブの感覚では動詞ごとに「相性の良い形」が決まっており、理屈だけでなく慣用として覚える部分も多くあります。特に look forward to, be used to, get used to, be accustomed to は「to = 不定詞のマーカー」という思い込みが強く残っている学習者が最も間違えやすい表現です。to の直後が動詞の原形なら不定詞、名詞や動名詞が来れば前置詞のtoだと判断する習慣をつけましょう。
be used to / used to の違いにも要注意
これも定番の混同ポイントです。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| used to + 動詞の原形 | 過去の習慣・状態(今はしていない) | I used to play soccer.(私は昔サッカーをしていた。) |
| be/get used to + 動名詞 | 〜に慣れている | I am used to waking up early.(私は早起きに慣れている。) |
| be/get used to + 名詞 | 〜に慣れている | I am used to Japanese food.(私は日本食に慣れている。) |
自然な英語例文で使い方を確認しよう
My sister loves cooking Italian food on weekends.
(私の姉/妹は週末にイタリア料理を作るのが大好きだ。)
We plan to visit Kyoto next spring.
(私たちは来春京都を訪れる計画だ。)
The teacher asked the students to submit their homework by Friday.
(先生は生徒たちに金曜日までに宿題を提出するように求めた。)
Learning a new language takes patience and consistent practice.
(新しい言語を学ぶには忍耐と継続的な練習が必要だ。)
My father gave up smoking five years ago.
(私の父は5年前にタバコをやめた。)
It's important to save money for emergencies.
(緊急時のためにお金を貯めておくことは重要だ。)
I'm not used to speaking in front of a large audience.
(私は大勢の聴衆の前で話すことに慣れていない。)
They finally managed to finish the project on time.
(彼らはついにそのプロジェクトを時間通りに終わらせることができた。)
まとめ:動名詞と不定詞の核心ルール
- 動名詞(doing)は「名詞化した動詞」、不定詞(to do)は「名詞・形容詞・副詞として働く動詞」という基本構造を押さえる。
- 前置詞の直後は必ず動名詞(look forward to, be used to のtoは前置詞であることに注意)。
- enjoy, finish, avoid, mind, suggest, give up などは動名詞のみ、want, decide, hope, plan, promise などは不定詞のみをとる。
- remember, forget, stop, try, regret は動名詞と不定詞で意味が変わる。動名詞=過去・実体験、不定詞=未来・目標というイメージで区別する。
- make, let, help、知覚動詞(see, hear, feel など)の後は to のない原形不定詞を使う。
- 日本語の「〜すること」という訳語だけで判断せず、動詞ごとの相性(コロケーション)を例文とセットで覚えることが上達の近道である。