制限用法の関係代名詞節(Defining Relative Clauses)とは何か
英語の文で、名詞の直後に情報を付け足して「どの人・どの物のことを言っているのか」を特定する節を制限用法の関係詞節(defining relative clause / restrictive relative clause)と呼びます。日本語の英文法参考書では「制限用法」「限定用法」と呼ばれることが多く、対になる概念は「非制限用法(non-defining relative clause)」です。
たとえば次の文を見てください。
- The man who called you is my brother.(あなたに電話をかけたその男性は、私の兄です。)
この文で "who called you" という関係詞節がないと、"The man is my brother." だけでは「どの男性なのか」がまったく分かりません。つまりこの関係詞節は、名詞 "the man" を特定するために絶対に必要な情報を加えています。これが制限用法(defining)の核心です。
日本語には英語の関係代名詞に相当する品詞がありません。日本語では「あなたに電話をかけた男性」のように、修飾する節(連体修飾節)を名詞の前に置きますが、英語では関係詞節を名詞の後ろに置きます。この語順の違いこそが、日本人学習者が関係詞節でつまずく最大の原因です。英作文をするとき、日本語の語順のまま頭の中で組み立てようとすると失敗しやすいので、「まず基本の文を作り、その後ろに説明を足す」という英語の発想に慣れることが重要です。
制限用法の関係詞節の形(公式)
制限用法の関係詞節は、先行詞(説明される名詞)の直後に関係代名詞・関係副詞を置き、その後に節(主語+動詞を含む文)を続けます。
| 先行詞の種類 | 主格(S) | 目的格(O) | 所有格 |
|---|---|---|---|
| 人 | who / that | who(m) / that / (省略可) | whose |
| 物・動物 | which / that | which / that / (省略可) | whose / of which |
| 場所 | where | — | — |
| 時 | when | — | — |
| 理由 | why | — | — |
基本の公式
先行詞(名詞) + 関係代名詞(主格) + 動詞 ...
先行詞(名詞) + 関係代名詞(目的格)+ 主語 + 動詞 ...
- 主格の例: The woman who lives next door is a doctor.(隣に住んでいる女性は医師です。)
- 目的格の例: The book which I bought yesterday is interesting.(私が昨日買った本は面白い。)
制限用法の重要な特徴として、コンマ(,)を使わないという点があります。これは非制限用法との最大の違いであり、日本人学習者が最も混同しやすいポイントです(後述の比較表で詳しく扱います)。
主な用法
- 人を先行詞として特定する(who / that)
先行詞が「人」で、その人が誰なのかを絞り込む。 -
I know the girl who won the contest.(私はそのコンテストで優勝した女の子を知っています。)
-
物・動物を先行詞として特定する(which / that)
先行詞が「物・動物」で、それが何であるかを絞り込む。 -
This is the phone which I lost last week.(これが先週私が失くした電話です。)
-
目的格の関係代名詞は省略できる
関係詞節の中で関係代名詞が目的語の働きをしている場合、口語でも文語でも省略が可能。 -
The movie (that) we watched last night was boring.(昨夜私たちが見た映画は退屈でした。)
-
主格の関係代名詞は原則として省略できない
関係詞節の中で関係代名詞が主語の働きをしている場合は省略不可。 - ❌ The man called you is my brother.
-
⭕ The man who called you is my brother.
-
that は who / which の代わりに幅広く使える(制限用法限定)
制限用法では that が who・which の代用として非常によく使われる。特に先行詞が「人+物」の両方を含む場合や、最上級・all・everything などの後では that が好まれる。 - She is the only person that understands me.(彼女は私を理解してくれる唯一の人です。)
-
He mentioned all the things that he had seen.(彼は自分が見たすべてのことに言及しました。)
-
whose で所有関係を表す(人にも物にも使用可)
-
I met a man whose son is a famous singer.(私は息子が有名な歌手であるという男性に会いました。)
-
where / when / why は場所・時・理由を先行詞とする関係副詞
関係副詞の後ろは「完全な文(主語・動詞・目的語がそろっている文)」になる点が関係代名詞と異なる。 - This is the restaurant where we had our first date.(ここが私たちが初デートをしたレストランです。)
- I remember the day when we first met.(私たちが初めて会った日を覚えています。)
-
That's the reason why she left early.(それが彼女が早く帰った理由です。)
-
前置詞+関係代名詞、または前置詞を後置する形
フォーマルな文体では「前置詞+whom/which」、カジュアルな文体では前置詞を節の最後に置く。 - This is the person to whom I gave the letter.(こちらがその手紙を渡した相手の方です。)=フォーマル
- This is the person (who/that) I gave the letter to.(こちらがその手紙を渡した人です。)=カジュアル
制限用法と非制限用法の比較(コンマの有無で意味が変わる)
制限用法(defining)と非制限用法(non-defining)は形が似ているため混同しやすいですが、意味と用法はまったく異なります。日本の学校英文法ではそれぞれ「制限用法」「非制限用法(継続用法)」と呼ばれます。
| 比較項目 | 制限用法(defining) | 非制限用法(non-defining) |
|---|---|---|
| コンマ | 使わない | 節の前後にコンマを置く |
| 役割 | 先行詞を特定・限定する(必須情報) | 先行詞に補足情報を加える(削除可能な情報) |
| that の使用 | 使用可能 | 使用不可 |
| 関係代名詞の省略 | 目的格は省略可能 | 省略不可 |
| 削除した場合の意味 | 意味が成立しない、または変わる | 意味の骨格は変わらない |
具体例で比較してみましょう。
- 制限用法: My brother who lives in Osaka is a teacher.(大阪に住んでいる方の兄は教師です。=兄が複数いて、その中で大阪に住んでいる兄を特定している)
- 非制限用法: My brother, who lives in Osaka, is a teacher.(私の兄は、(ちなみに)大阪に住んでいますが、教師です。=兄は一人しかいないという前提で、補足情報を加えている)
このコンマ一つで意味が大きく変わることを理解しておくことは、リーディング・ライティングの両方で非常に重要です。
日本人がよく間違えるポイント
| ❌ 誤り | ⭕ 正しい形 | なぜ間違いなのか |
|---|---|---|
| The man which called you is my brother. | The man who called you is my brother. | 先行詞が「人」の場合、主格には which ではなく who(または that)を使う。日本語には人と物で関係詞を使い分ける発想がないため混同しやすい。 |
| I have a friend, he lives in Tokyo. | I have a friend who lives in Tokyo. | 日本語の「私には友達がいる、彼は東京に住んでいる」のように文を二つ並べる発想のまま英語にすると、関係詞を使わず代名詞で繋いでしまう誤り(いわゆる connective が抜けた文)。英語では関係代名詞で一文にまとめる。 |
| This is the book that I bought it yesterday. | This is the book that I bought yesterday. | 関係代名詞 that がすでに it の役割(目的語)を果たしているため、it を重複させてはいけない。日本語では「私がそれを買った本」のように「それ」を残す発想があるため起こりやすい誤り。 |
| The place which we visited last year was beautiful.(誤りではないが要注意) | The place where we visited last year was beautiful. / The place which we visited last year was beautiful. | which を使う場合は visited の目的語が欠けている必要がある(visited の後に place を戻せる)。where を使う場合は完全文になる。関係代名詞(欠けた文)と関係副詞(完全な文)の区別を意識せずに使うと不自然になることがある。 |
| The restaurant where I went there was great. | The restaurant where I went was great. | where を使っているのに there を重複させる誤り。where自体が「そこで」の意味を含むため there は不要。 |
| He is a person who I think that he is honest. | He is a person who I think is honest. | 挿入節(I think)がある場合、that を重ねてはいけない。「I think (that) 主語+動詞」の構造を関係詞節に埋め込むときは that を省略する。 |
| I respect the teacher, who taught me English in high school.(意図が制限用法なのに非制限用法で書いてしまう) | I respect the teacher who taught me English in high school. | 「高校で英語を教えてくれた」その先生を特定したい(多くの先生の中の一人)という意図なら、コンマを付けてはいけない。コンマを付けると「先生は一人しかいない」というニュアンスになってしまう。 |
学習のポイントとして、関係詞節を作るときは必ず「①先行詞は人か物か」「②関係詞節の中で先行詞は主語・目的語・所有格のどの役割をしているか」「③意味は特定(制限)か補足(非制限)か」の3点を順番に確認する癖をつけると、ミスが激減します。特に③のコンマの有無は、書いた後に必ず読み返して確認する習慣をつけましょう。
自然な英語例文
- The restaurant that we went to last night was fully booked.(昨夜私たちが行ったレストランは満席でした。)
- She married a man who she met at university.(彼女は大学で出会った男性と結婚しました。)
- Do you remember the song that was playing when we first danced?(私たちが初めて踊ったときにかかっていた曲を覚えていますか。)
- The company whose products dominate the market is expanding overseas.(製品が市場を席巻しているその会社は、海外展開を進めています。)
- People who exercise regularly tend to sleep better.(定期的に運動する人は、より良い睡眠をとる傾向があります。)
- This is the reason why he quit his job.(これが彼が仕事を辞めた理由です。)
- The apartment where I grew up has since been demolished.(私が育ったアパートは、その後取り壊されました。)
- Everything that glitters is not gold.(光るものすべてが金とは限らない。=ことわざ)
- The scientists who discovered the virus received an award.(そのウイルスを発見した科学者たちは賞を受賞しました。)
- I can't find the keys (that) I left on the table.(テーブルに置いておいた鍵が見つかりません。)
まとめ:制限用法の関係詞節で覚えるべき核心ルール
- 制限用法の関係詞節は、先行詞(名詞)を特定するために不可欠な情報を加える節であり、削除すると文の意味が成立しなくなる。
- コンマは使わない。コンマを使うと非制限用法(補足情報)になり、意味が変わる。
- 先行詞が「人」なら who / that、「物・動物」なら which / that、所有関係なら whose を使う。
- 場所・時・理由を表す先行詞には関係副詞 where / when / why を使い、その後ろは完全な文になる。
- 関係詞節の中で目的語の働きをする関係代名詞(目的格)は省略できるが、主語の働きをする関係代名詞(主格)は省略できない。
- 関係詞節の中に代名詞(it, there, he など)を重複させないよう注意する。
- 英作文の際は、日本語の「前から修飾する」語順につられず、「先行詞+関係詞節」という英語特有の後置修飾の語順に慣れることが上達の鍵となる。