Free Relatives(自由関係詞節)とは何か:基本の定義と役割
英語には「関係代名詞・関係副詞が導く節」がありますが、その中でも先行詞(説明される名詞)を持たないタイプを Free Relatives(自由関係詞節、フリー・リレイティブ) と呼びます。日本の学校英文法では「先行詞を含む関係代名詞」「複合関係代名詞」という名前で扱われることが多い項目です。
たとえば通常の関係代名詞節は次のように「先行詞+関係代名詞節」の形を取ります。
- I like the thing that you made.(あなたが作ったものが好きです)
これに対して Free Relatives は、先行詞を関係詞自体の中に埋め込んでしまい、"the thing that" のような部分をまるごと what 一語で表現します。
- I like what you made.(あなたが作ったもの[こと]が好きです)
つまり Free Relatives とは、「先行詞+関係詞」を1つの語(what, who, whoever, whatever, wherever など)に圧縮した節のことです。日本語の「〜すること」「〜する人」「〜するところ」といった名詞化表現に近い働きをするため、日本人学習者にとっては発想を大きく転換する必要がある文法項目です。
なぜ重要かというと、Free Relatives は日常会話・ビジネス英語・書き言葉のすべてで非常に頻度が高く、また日本語話者が直訳すると不自然、あるいは文法的に誤った英文を作りやすいポイントだからです。特に "the thing that", "the person who" のような回りくどい表現を無意識に多用してしまう学習者は多く、ネイティブらしい簡潔な英語を書く・話す上で Free Relatives の習得は避けて通れません。
Free Relatives の形(公式)と基本構造
Free Relatives は次の公式で整理できます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 基本公式 | Free Relative Pronoun(what / who(ever) / whatever / wherever など) + 主語 + 動詞 |
| 節全体の働き | 名詞節として、文の主語・目的語・補語になる |
| 特徴 | 先行詞(名詞)が節の外に存在しない=関係詞の中に意味が内蔵されている |
代表的な自由関係詞(Free Relative Pronoun)は以下の通りです。
| 自由関係詞 | 意味(言い換え) | 用例 |
|---|---|---|
| what | the thing(s) that(〜すること・もの) | What she said surprised me. |
| who | the person who(〜する人) ※やや古風・文語的 | Who dares wins.(ことわざ的表現) |
| whoever | anyone who(〜する人は誰でも) | Whoever comes first wins. |
| whatever | anything that(〜するものは何でも) | Take whatever you like. |
| wherever | any place where(〜するところはどこでも) | Sit wherever you want. |
| whenever | any time when(〜するときはいつでも) | Call me whenever you need help. |
| however | in whatever way(どんな方法でも) | Do it however you like. |
肯定文・否定文・疑問文での形もまとめておきます。
| 文の種類 | 形 | 例文 |
|---|---|---|
| 肯定文 | What + S + V ~. | What I need is more time.(私に必要なのはもっと時間だ) |
| 否定文 | What + S + do not + V ~. | What I don't understand is why he left.(私が理解できないのは彼がなぜ去ったのかだ) |
| 疑問文(間接疑問との違いに注意) | Do you know what S + V ~? | Do you know what he wants?(彼が何を欲しがっているか知っていますか) |
注意点: 上の疑問文の例は Free Relatives ではなく「間接疑問文」です。形が似ているため混同しやすいので、後述の比較表で違いを整理します。
Free Relatives の主な用法:文中での5つの働き
Free Relatives(特に what 節)は名詞節として、通常の名詞と同じように主語・目的語・補語の位置に置けます。
- 文の主語になる
-
What you said hurt her feelings.(あなたが言ったことが彼女の気持ちを傷つけた)
-
動詞の目的語になる
-
I don't know what he wants.(彼が何を欲しがっているのか私は分からない)
-
前置詞の目的語になる
-
She is worried about what might happen.(彼女は何が起こるかもしれないかを心配している)
-
be動詞の補語になる(強調構文的な使い方)
-
This is exactly what I was looking for.(これはまさに私が探していたものだ)
-
whoever / whatever / wherever などで「〜は誰でも/何でも/どこでも」と譲歩・全称の意味を表す
- Whoever finishes first gets a prize.(誰であれ最初に終わった人が賞をもらえる)
- Eat whatever you want.(何でも好きなものを食べていいですよ)
- I'll go wherever you go.(あなたが行くところならどこへでも行きます)
学習のポイントとして、what 節は「the thing(s) which/that」に置き換えられるかどうかで判別すると分かりやすいです。置き換えても意味が通れば Free Relatives(名詞節としての what)であると確認できます。
- What I like about him is his honesty.
= The thing that I like about him is his honesty.(彼について私が好きなのは彼の誠実さだ)
通常の関係代名詞節との比較:先行詞の有無がすべて
Free Relatives と通常の関係代名詞節は形が似ているため、日本人学習者が最も混同しやすいポイントです。
| 項目 | 通常の関係代名詞節 | Free Relatives(自由関係詞節) |
|---|---|---|
| 先行詞 | あり(the thing, the person など) | なし(関係詞自体に意味が内蔵) |
| 使う関係詞 | that, which, who など | what, whoever, whatever など |
| 節の働き | 名詞を修飾する形容詞節 | それ自体が名詞節(文の主語・目的語) |
| 例 | the book that I bought | what I bought |
| "what" が使えるか | ×(先行詞がある場合 what は使えない) | ○ |
日本人が特に間違えやすいのが、この "what" と "that / which" の混同 です。先行詞(the thing, the book など)がすでに文中にある場合、what は絶対に使えません。
- ❌ I like the thing what you made.
- ⭕ I like the thing that you made.
- ⭕ I like what you made.(先行詞を消して what だけにする)
間接疑問文との比較:形が同じでも意味・用法が違う
what/who/whatever などを使った節はもう一つ、間接疑問文とよく似ています。両者は形式上ほぼ同じに見えるため、区別が非常に難しいポイントです。
| 項目 | Free Relatives(自由関係詞節) | 間接疑問文 |
|---|---|---|
| 意味の核 | 「〜すること・もの」(名詞化) | 「何を〜するか」(疑問の内容) |
| 元になる文の種類 | 平叙文的な意味 | 疑問文的な意味 |
| 典型例 | I ate what she cooked.(彼女が料理したものを食べた) | I wonder what she cooked.(彼女が何を料理したのか気になる) |
| 判別のコツ | 「〜こと・もの」で自然に訳せる | 「〜か」で自然に訳せる |
同じ "I know what he did." という文でも、文脈によって「彼がしたこと(=行為の内容)を知っている」(Free Relative)とも、「彼が何をしたか知っている」(間接疑問)とも解釈できることがあり、実際のネイティブの感覚でもこの境界は曖昧な場合があります。学習段階では厳密に区別しようとしすぎず、「どちらの訳でも意味が通ればOK」というくらいの柔軟さで捉えて構いません。
日本人がよく間違えるポイント
日本語の発想(「〜すること」「〜するもの」= the thing that / the fact that を機械的に当てはめる癖)から生じる典型的な誤りをまとめます。
| ❌ 誤った英文 | ⭕ 正しい英文 | なぜ誤りなのか |
|---|---|---|
| I don't know the thing what he wants. | I don't know what he wants. | 先行詞(the thing)と what(先行詞内蔵型)を二重に使ってしまっている。what はそれ自体に「the thing that」の意味を含むため、先行詞は不要。 |
| What he said it was true. | What he said was true. | what節の後にもう一度 it を置いて主語を重複させている。日本語の「彼が言ったこと、それは本当だった」という主語の言い直し癖の影響。 |
| Whatever you want it, take it. | Whatever you want, take it. | whatever 節の中に、対応する目的語(it)を重ねて書いてしまっている。whatever 自体がすでに want の目的語を兼ねている。 |
| I go where you go. | I go wherever you go. | 場所を表す「どこでも」を where だけで表そうとしている。where は先行詞(the place)が別にある場合の関係副詞であり、「〜するところはどこでも」という全称的意味には wherever が必要。 |
| The person who comes first will win. (文法的には正しいが、Free Relative の練習としては) | Whoever comes first will win. | 誤りではないが、Free Relatives を使うべき文脈で先行詞付きの表現に逃げてしまい、簡潔な英語表現を習得する機会を逃している。ネイティブは whoever を好んで使う。 |
| That's what I want to say it. | That's what I want to say. | 文末に say の目的語として it を重複させている。what がすでに say の目的語の役割を果たしている。 |
共通する原因: 日本語では「〜すること、それは…」のように名詞句を一度言ってから代名詞で受け直す構造が自然ですが、英語の Free Relatives はその名詞的な意味をすでに関係詞1語に内蔵しているため、後ろで重ねて代名詞(it, that など)を置くと文法的に誤り、または冗長になります。「what = the thing that」「whatever = anything that」と機械的に暗記し、内蔵された意味を再度言い直さないことを徹底しましょう。
自然な英語例文で使い方を確認する
日常生活のさまざまな場面で使われる Free Relatives の例文を、多様な主語とともに確認しましょう。
- What surprised me most was his calm reaction.(私が一番驚いたのは彼の冷静な反応だった)
- She always eats whatever is in the fridge.(彼女はいつも冷蔵庫にあるものを何でも食べる)
- Whoever left this bag here should come and pick it up.(このバッグをここに置いていった人は誰であれ取りに来るべきだ)
- You can sit wherever you like in this restaurant.(このレストランではお好きな場所にお座りいただけます)
- Whatever happens, I'll support you.(何が起ころうと、私はあなたを支えます)
- I couldn't understand what the teacher was explaining.(先生が説明していることが理解できなかった)
- This is not what I ordered.(これは私が注文したものではありません)
- Whenever you're ready, just let me know.(準備ができたらいつでも教えてください)
- He did whatever it took to finish the project on time.(彼はプロジェクトを期限内に終わらせるためにできることは何でもやった)
- What matters most in this job is honesty.(この仕事で最も大切なのは誠実さだ)
Free Relatives と Whoever/Whatever の譲歩用法:no matter who/what との関係
whoever, whatever, wherever, however は「〜は誰でも/何でも/どこでも/どんな方法でも」という譲歩(no matter ~)の意味でも使われます。これは Free Relatives の応用形として押さえておくと理解が深まります。
| Free Relative(譲歩用法) | 書き換え(no matter ~) | 意味 |
|---|---|---|
| Whoever calls, tell them I'm out. | No matter who calls, ~ | 誰が電話してきても |
| Whatever you decide, I'll accept it. | No matter what you decide, ~ | あなたが何を決めても |
| Wherever you go, I'll follow you. | No matter where you go, ~ | あなたがどこへ行っても |
| However hard it is, we'll try. | No matter how hard it is, ~ | どれほど困難でも |
この譲歩用法と、これまで見てきた「〜する人・もの・ところ」という名詞節用法は、文脈(コンマの有無や文全体の意味)によって区別します。文頭に置かれ、コンマで区切られて主節に「〜だとしても」という譲歩の意味を添えている場合は譲歩用法、文の主語・目的語として名詞そのものの働きをしている場合は名詞節用法と判断しましょう。
まとめ:Free Relatives の核心ルール
- Free Relatives(自由関係詞節)とは、先行詞を関係詞自体に内蔵した節であり、what は「the thing(s) that」、whoever は「anyone who」、whatever は「anything that」、wherever は「any place where」に相当する。
- 先行詞(the thing, the person など)と Free Relative Pronoun(what など)を同じ文の中で二重に使わない。どちらか一方だけを選ぶ。
- what 節の後や whoever/whatever 節の中に、対応する目的語(it, that など)を重ねて書かない。関係詞自体がすでにその役割を果たしている。
- 通常の関係代名詞節(先行詞+that/which/who)と Free Relatives(先行詞なし+what など)を区別し、文脈に応じて正しく使い分ける。
- 間接疑問文と形が似ているため混同しやすいが、「〜こと・もの」と訳せれば Free Relatives、「〜か」と訳せれば間接疑問文とおおまかに判別できる。
- whoever, whatever, wherever, however は「no matter ~」に近い譲歩の意味でも使われる、応用度の高い表現である。
- ネイティブは "the thing that" のような回りくどい表現よりも Free Relatives(特に what)を好んで使う傾向があるため、意識的に使う練習をすることで、より自然で簡潔な英語表現力が身につく。