What節(What Clauses)とは?意味・役割を基礎から理解する
英文法における「What節(What Clauses)」とは、疑問詞 what を使って作られる名詞節の一種です。日本語の学校英文法では「間接疑問文」や「疑問詞節」というカテゴリーで扱われることが多い項目ですが、What節はその中でも特に使用頻度が高く、日常英会話からビジネスメール、TOEIC・英検・大学入試の長文まで幅広く登場します。
What節は文中で名詞と同じ働きをし、以下の4つの文の要素になります。
- 主語(Subject)
- 目的語(Object)
- 補語(Complement)
- 前置詞の目的語(Object of a preposition)
例えば次の文を見てください。
- What she said surprised everyone.
(彼女が言ったことは、みんなを驚かせた。) - I don't know what he wants.
(私は彼が何を欲しがっているのか分からない。) - This is what I mean.
(これが私の言いたいことです。)
これら3つの太字部分はすべて「What + S + V」という同じ形をしていますが、文中での役割(主語・目的語・補語)が異なります。この「1つの形が複数の役割を果たす」という点が、What節を理解するうえで最も重要なポイントです。
日本人学習者がつまずきやすいのは、What節を疑問文だと錯覚してしまうことです。What節はあくまで「名詞のかたまり」であり、疑問文ではありません。そのため、語順が疑問文とは異なります(この点は後述の「よくある間違い」で詳しく解説します)。
What節の作り方と語順のルール(公式で覚える形)
What節を正しく作るための基本公式は以下の通りです。日本の参考書でおなじみの「S+V」の語順を意識して覚えましょう。
基本形(公式)
| 構成要素 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 疑問詞 | what | what |
| 主語 | S(名詞・代名詞) | he / she / I / they など |
| 動詞 | V(肯定文と同じ語順) | wants / said / is など |
| 全体の形 | what + S + V | what he wants |
公式:What + 主語 + 動詞 ...(疑問文のように「動詞+主語」を倒置しない)
| 種類 | 誤った形(疑問文の語順) | 正しい形(What節の語順) |
|---|---|---|
| 平叙文中 | ❌ I don't know what does he want. | ⭕ I don't know what he wants. |
| 疑問文中 | ❌ Do you know what is she doing? | ⭕ Do you know what she is doing? |
| be動詞 | ❌ Tell me what is your name. | ⭕ Tell me what your name is. |
重要ルール:What節の内部は常に「肯定文と同じ語順(S+V)」になる。do/does/didなどの助動詞は使わない(一般動詞をwhatが尋ねる対象にする場合を除く)。
Whatが担う文法的役割による語順の違い
Whatが節の中で「主語」になる場合と、「目的語・補語」になる場合とで、後ろの構造が変わります。
| Whatの役割 | 形 | 例文 |
|---|---|---|
| Whatが主語 | What + V ... | What happened to you? / I don't know what happened. |
| Whatが目的語 | What + S + V ... | I don't know what you did. |
| Whatが補語 | What + S + be動詞 | This is what he is. |
What節の4つの文法的機能(主語・目的語・補語・前置詞の目的語)
What節は名詞と同じ働きをするため、文中で次の4つの位置に置くことができます。それぞれ番号付きで、ルールと例文を確認しましょう。
1. 主語になるWhat節(What Clause as Subject)
ルール:文全体の主語としてWhat節を文頭に置く。動詞は3人称単数扱い(原則として単数動詞)になる。
- What you need is more practice.
(あなたに必要なのは、もっと練習することです。) - What surprised me most was his honesty.
(私が最も驚いたのは、彼の正直さだった。)
2. 目的語になるWhat節(What Clause as Object)
ルール:他動詞の直後に置き、「〜すること」「何が〜か」という意味の目的語になる。間接疑問文の代表的な形。
- I don't understand what you mean.
(あなたの言っていることが理解できません。) - She asked me what I was doing.
(彼女は私に何をしているのか尋ねた。)
3. 補語になるWhat節(What Clause as Complement)
ルール:be動詞の後ろに置き、主語を説明する補語として機能する。「This/That is what ...」の形は会話・ライティング双方で非常によく使われる。
- This is what I was looking for.
(これが私が探していたものです。) - Money isn't what makes people happy.
(お金は人を幸せにするものではない。)
4. 前置詞の目的語になるWhat節(What Clause as Object of a Preposition)
ルール:前置詞(in, about, on, forなど)の直後に置き、前置詞の目的語となる。
- I'm not interested in what he thinks.
(私は彼が何を考えているかには興味がない。) - Let's talk about what happened yesterday.
(昨日起こったことについて話しましょう。)
間接疑問文との関係:What節はなぜ疑問文の語順にならないのか
学校英文法では「間接疑問文(Indirect Questions)」という単元でWhat節を習うことが多いですが、ここで多くの日本人学習者が混乱します。直接疑問文と間接疑問文(What節を含む文)の違いを比較表で整理します。
| 項目 | 直接疑問文(Direct Question) | 間接疑問文=What節(Indirect Question) |
|---|---|---|
| 語順 | 疑問詞+助動詞+主語+動詞 | 疑問詞+主語+動詞 |
| 助動詞 do/does/did | 必要 | 原則不要(一般動詞の場合、肯定文の形に戻す) |
| 文末の記号 | ?(疑問符) | 文全体の種類による(平叙文なら。) |
| 例文 | What do you want? | I don't know what you want. |
| 例文(be動詞) | What is she doing? | Tell me what she is doing. |
ネイティブの感覚: ネイティブスピーカーにとって、What節は「質問を頭の中でそのまま名詞化したもの」ではなく、「すでに1つの名詞のカタマリ」として認識されています。そのため、疑問文のような「動詞と主語をひっくり返す」倒置は起こりません。この感覚を持つために、「What節を見たら、まず一旦、通常の肯定文を作ってから、その文の一部をwhatに置き換える」という手順で練習するのがおすすめです。
例:
1. 元の文:He wants something.
2. 疑問文を作らず、そのまま "something" を "what" に置き換える → He wants what.
3. whatを節の先頭に移動する → what he wants
4. 主節に組み込む → I don't know what he wants.
What節とWhat節を使った関係詞・複合関係代名詞との違い
What節は「関係代名詞のwhat(先行詞を含む関係代名詞)」と呼ばれることもあります。これは、一般的な関係代名詞(who, which, that)と違い、先行詞(説明される名詞)を必要としないという特徴があります。
| 項目 | 関係代名詞 which / that | 関係詞のwhat(What節) |
|---|---|---|
| 先行詞 | 必要(the thing which...) | 不要(先行詞を内包する) |
| 意味 | 〜する(先行詞) | 〜すること・もの(the thing(s) that ...) |
| 例文 | I like the thing which he made. | I like what he made. |
| 日本語訳 | 私は彼が作ったその物が好きだ。 | 私は彼が作ったもの(こと)が好きだ。 |
学習のポイント: "what" = "the thing(s) that" と覚えると、What節の意味を瞬時に理解できるようになります。例えば "I didn't understand what she said." は "I didn't understand the thing that she said." と同じ意味です。この置き換えテクニックは、リーディングで長い文に出会ったときに非常に役立ちます。
日本人が特によく間違えるポイント(誤用パターンと正しい形)
日本語の発想(「〜は何ですか」を直訳する癖)から生まれる典型的な誤りをまとめました。
| ❌ 誤った英文 | ⭕ 正しい英文 | なぜ間違いなのか |
|---|---|---|
| ❌ I don't know what is his job. | ⭕ I don't know what his job is. | be動詞を使う文でも、What節内は疑問文の語順(is his job)ではなく平叙文の語順(his job is)にする。日本語の「彼の仕事は何ですか」を直訳すると疑問文語順にしがちだが、間接疑問文では倒置しない。 |
| ❌ Please tell me what do you want. | ⭕ Please tell me what you want. | 依頼文の中でもdo/doesは使わない。「教えてください+疑問文」という日本語の発想でdoを入れてしまう典型例。 |
| ❌ What you want is what? | ⭕ What do you want? | 直接疑問文と間接疑問文(What節)を混同し、両方に疑問詞を入れてしまうケース。直接疑問文ではwhatは1回だけ使う。 |
| ❌ I know what is it. | ⭕ I know what it is. | it isの語順が入れ替わる典型ミス。特に会話で頻出。 |
| ❌ 「〜ということ」を訳そうとしてthat節を使ってしまう:I don't know that he bought. | ⭕ I don't know what he bought. | 「何を買ったか分からない」は疑問の内容を含むためwhat節が必要。thatは単なる事実の接続詞であり、疑問の意味を持たない。 |
| ❌ What I like is soccer and tennis.(単数扱いの動詞と複数の内容の不一致に気づかない) | ⭕ What I like are soccer and tennis.(補語が複数の場合はbe動詞を複数形にすることも許容される) | What節が主語のとき、be動詞の数は文脈・スタイルによって単数・複数どちらもあり得るため、直後の名詞(補語)に注目する。 |
特に注意: 日本語では「〜は何ですか?」の疑問文の形をそのまま従属節に埋め込みたくなりますが、英語のWhat節では「疑問文のカタチ」を捨てて「名詞節のカタチ」に変換する必要があります。これは日本語にはない発想の転換なので、繰り返し練習して体に染み込ませることが大切です。
What節を使った自然な例文集(日常会話・ビジネス・ライティング)
様々な主語・場面でのWhat節の使用例を確認し、実践的な感覚を養いましょう。
- What I really want is a long vacation.
(私が本当に欲しいのは、長い休暇です。) - Can you tell me what time the meeting starts?
(会議が何時に始まるか教えてもらえますか。) - I still don't understand what went wrong.
(何が問題だったのか、私はまだ理解できていません。) - What she told me was completely different from the truth.
(彼女が私に言ったことは、真実とは全く違っていた。) - He never explained what he was planning to do.
(彼は何をするつもりなのか、一度も説明しなかった。) - What matters most in a relationship is trust.
(人間関係において最も大切なのは信頼です。) - I'm going to show you what I found on the internet.
(インターネットで見つけたものをあなたに見せます。) - The teacher asked us what we thought about the book.
(先生は私たちにその本についてどう思うか尋ねた。) - Nobody knows what the future holds.
(未来に何が待っているかは誰にも分からない。) - That's exactly what I was thinking.
(それはまさに私が考えていたことです。)
What節とWhateverを使った譲歩節の違い(応用編)
上級レベルの英文法として、Whatと似た形で使われる whatever(〜するものは何でも) との違いも押さえておくと、長文読解で役立ちます。
| 項目 | what節 | whatever節 |
|---|---|---|
| 意味 | 〜すること・〜するもの(特定の1つ) | 〜するものは何でも(不特定・譲歩) |
| 例文 | I'll eat what you cook.(あなたが作るものを食べる=特定のもの) | I'll eat whatever you cook.(あなたが何を作っても食べる=どんなものでも) |
| ニュアンス | 中立的な事実描写 | 「何であっても構わない」という譲歩・許容のニュアンス |
この違いは英検準1級・1級やTOEFLレベルの読解で問われることがあるため、余裕があれば合わせて学習しておくとよいでしょう。
まとめ:What節の核心ルールを1分で復習
最後に、What節をマスターするために覚えておくべき核心ルールを箇条書きで整理します。
- What節は「What + S + V」の形をとる名詞節であり、文中で主語・目的語・補語・前置詞の目的語になる。
- What節の内部の語順は常に平叙文と同じ(S+V)。do/does/didなどの助動詞を使った疑問文の語順にしない。
- be動詞を含むWhat節も同様に「S + be動詞」の順(例:what he is、what her name is)。
- What節は「関係詞のwhat」とも呼ばれ、"the thing(s) that ..." に置き換えて意味を理解すると分かりやすい。
- 直接疑問文(What do you want?)と間接疑問文=What節(I don't know what you want.)の語順の違いを混同しないこと。
- whatever節との違い(特定 vs 不特定・譲歩)も理解しておくと、より自然で高度な英語表現ができるようになる。
What節は一見シンプルに見えて、日本語にはない「疑問文を名詞化する」という発想の転換が必要な文法項目です。まずは「what = the thing that」という置き換えを意識し、次にたくさんの例文に触れることで、自然に正しい語順が身についていきます。焦らず、上記の表と例文を繰り返し確認しながら定着させていきましょう。